経産省が発表した「キャッシュレス・消費者還元事業」の対象店舗一覧PDFが話題だ。キャリコネニュースでは9月2日、3600ページに及ぶPDFに「見づらい」という声が上がっていることを取り上げた。
編集部が4日にサイトを確認したところ、「登録加盟一覧はこちら」というボタンの下に「9月中下旬には、地図上に対象店舗を表示するウェブ機能やアプリを公表予定」という文言が追加されていた。ウェブやアプリの作成はかねてから予定されていたものだが、新たにこの部分に記載した理由について、経産省商務・サービスグループキャッシュレス推進室の担当者は、
「炎上しましたからね。炎上したからはっきり書かせていただきました。9月中下旬に出しますのでお待ちくださいという思いを込めています」
と説明した。
「リストを見るのが嫌ならウェブ・アプリで見てください」
注目が集まったこと受け、経産省は2日、サイト上に「消費者向け説明資料」を掲載した。事業内容に加え、こちらでも9月中下旬に地図上で検索できるウェブサイト・アプリをリリース予定であることが明かされている。
アプリやウェブに先立ってPDFで公開をしたのは、「皆さん、どの店舗が使えるのかすごく気にしているので、早いタイミングで調べたい人が調べられるように」という配慮だという。
「9月中下旬にだけ出せばいいのなら我々も助かるのですが、早いタイミングで知りたいというメディアの皆さん、一般の皆さんのご意見もありましたので、今一番見える形にさせていただきました。店舗数が少ない、情報の提供が遅いとご不満の方もいますが、今出せる最大の最新のものを出させていただいているつもりです。嫌なら見ていただかなくて結構です。地図を開く前にアプリ・ウェブのことをわかっていただけるように、注意書きを書かせていただいております」
ツイッターなどで「読みづらい」と言われているのは把握しているという。
「PDF以外の方法で提供しようと思うと、アプリのリリースタイミングを遅らせて別の機能を追加するのが本当に正しいのかということになります。ご不便をかけますが、リストを見るのが嫌であれば、中旬まで待っていただければと思います」
PDFのデータを利用し独自に検索サイトを作る民間企業も「6~7時間で完成した」
こうした中、家計簿サービスを提供するZaimは4日、経産省が発表したPDFをもとに「キャッシュレス還元マップ」を公開した。マップでは、日本地図から都道府県をクリックして市区町村を選択すると、キャッシュレス事業に対応しているお店が、還元率、サービス内容と共に表示される。
各店舗がどのようなお店なのかも、リストに付随しているグーグルの検索結果のリンクから確認することができる。ページの上部には検索窓もあり、店名から検索することも可能だ。公開されたPDFよりも利便性は高い。
代表の閑歳孝子さんによると3日午後、社内のSlackで経産省のPDFが「探そうにも探しようがない」と話題になった。社内で「こういうPDFの情報をわかりやすく表示したら、ユーザーの方も使いやすくなるのではないか」という意見が出たことから、サイトの作成に取り掛かった。
「PDFの中のデータをテキスト化してみようという話になったのが3日15時頃、開発が始まったのは19時頃でした。トータルでは6~7時間で完成したと思います。デザイナーやエンジニアなど、手を動かしたのは3~4人、社内チャットでアドバイスをくれた人は8~9人くらいです」
経産省がアプリやウェブの公開に先立ってPDFを公開したことについては、「最近は政府や自治体の方も情報をオープンにしようとしてくださっているのですが、ちょっと惜しい。もう一歩やってもらえたらいいのになあというところはあります」と話していた。
ネット上ではマップについて「こういう情報発信は良いね」という声が上がっているほか、同社に直接、不具合の報告や改善の要望などが届くなど反響は大きい。今後、経産省のデータに対象店舗が追加されるのに従って随時アップデートされる予定だ。