フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、F1第13戦ベルギーGPの決勝レースでライバルからのアンダーカットを防ぐためにセバスチャン・ベッテルをシャルル・ルクレールよりも先にピットインさせたものの、ベッテルのタイムが上がらず、このピットインは最善の戦略ではなかったことが明らかになったと語った。
ベッテルが2014年にフェラーリに加入して以来、これまでのシーズンにおいてチームオーダーの恩恵を受けるのは大抵はベッテルだった。2014年から2018年にかけて、しばしばベッテルに進路を譲って先に行かせなければならなかったのはキミ・ライコネンで、今年はそれがシャルル・ルクレールだった。
しかしベルギーGPの決勝レースでは、フェラーリはベッテルに対してルクレールに首位を譲るように指示を出した。
ベッテルは15周目にピットインしてソフトタイヤからミディアムタイヤに交換したが、これはトップ集団のなかで誰よりも早いタイミングだった。ルクレールがピットインしたのは21周目の終わりで、メルセデスのルイス・ハミルトンは22周、チームメイトのバルテリ・ボッタスは23周をそれぞれ終えたところでピットインした。
結果として、この3人のドライバーは全員べッテルよりもフレッシュなタイヤで走行することになった。さらに状況を悪くしたのは、ベッテルがルクレールやボッタス、ハミルトンよりも酷いタイヤのデグラデーションに苦しんでいたことだ。
23周目の時点で、ベッテルはトップを走っていた。しかし27周目に、フェラーリはルクレールを先行させるようベッテルにチームオーダーを発令した。チームは、ベッテルのペースが上がらないことが原因で最終的にメルセデスに優勝を奪われることを懸念していたのだ。
実際に、フェラーリのこの判断は正しかった。ルクレールは2位のハミルトンにわずか0.981秒差で勝利したのだ。ルクレールがベッテルの後ろであれ以上遅れをとっていたら、フェラーリは負けていただろう。
ベルギーGPの決勝レース後、ビノットは今回の状況について次のように説明した。
「我々はシーズン序盤にも(チームオーダーを)出したが、そのことは外部から常に受け入れられていたわけではなかった」とビノットは語った。
「シーズンが始まった当初から、我々が最優先すべきはチームであり、チームのポイントであると常に言ってきた。通常の場合、我々はレース毎にドライバーと起こり得る状況について議論をする。そしてまさにこの状況は、今朝ふたりのドライバーと議論したことなのだ」
「数レースが終わって、議論が単純なものになっていったことは間違いない。ドライバーと話し合いをしているときも、彼らはともかくそのことを理解していた。簡単な指示ではないと言わねばなるまい。なぜならドライバーたちは可能な限り速く走り、彼ら自身のためにできる限りのことしようとマシンに乗っているからだ」
「だが私は、最初から今日はあまり多くの選択肢がないと考えていた。セブ(ベッテルの愛称)を先にピットインさせてメルセデスから守らなければならなかった。そうしなければ、ハミルトンがアンダーカットをしてきただろう。それに、シャルルが長めにステイアウトすることでタイヤの面で優位に立てるからだ」
「セブはその段階で明らかに速かったし、ふたりは異なる戦略を採っていたので、ある段階では彼を抜いていた。戦略は違ったものの、早い段階で我々はタイムを失っており、あの状況下ではこの戦略はチームにとって最高のものではないと考えたのだ」