WRC世界ラリー選手権を戦うシトロエン・トタルWRTを率いるピエール・ブダール代表は、8月22~25日に行われた第10戦ドイツで苦戦を強いられたことで「ドライバーズチャンピオン争いにおいて、さらに難しい状況に追い込まれた」と述べた。
シリーズ6連覇中のセバスチャン・オジエと2019年から新加入したエサペッカ・ラッピのふたりにC3 WRCを託しているシトロエン。ラリー・ドイチェランドでは中盤までオジエが表彰台争いを繰り広げたものの、トヨタやヒュンダイと比べると絶対的なスピード不足は否めなかった。
そのオジエは2度のパンクに見舞われたこともあり、表彰台圏内から脱落して総合8位フィニッシュ。チームメイトのラッピは総合6位でのフィニッシュとなった。
シトロエン陣営はラリー・ドイチェランドと同じくフルターマック(舗装路)で争われた第4戦ツール・ド・コルスで表彰台こそ手にしたものの、速さの面ではトヨタやヒュンダイ、Mスポーツ・フォードにも遅れを取っていた。
チームの指揮を執るブダール代表は「コルシカ(ツール・ド・コルス)で我々が水準以下のパフォーマンスしか引き出せなかった理由を解明し、ドイチェランドに向けて必要な対策を施したつもりだった」と述べている。
「優勝争いを繰り広げるつもりでラリー・ドイチェランドに臨んだが、その願いは叶わなかった。コルシカと比べればライバルとの差を詰めることができたものの、満足できるレベルには達してはいなかったよ。準備不足だったことは否めない」
「セバスチャン(オジエ)とジュリアン(イングラシア/コドライバー)が担当した丸1日の事前テストでは雨が降ったんだ。これでドライコンディションでのテストは中断を余儀なくされたし、残念ながら大会期間中に雨が降ることもなかった」
「また、我々のクルーはつねに全力を尽くし、マシンから最大限の性能を引き出そうと努力してくれている。どんな状況でもね。彼らはハンドリングの問題をねじ伏せながら戦い続け、結果として何度かミスしてしまったんだ」
ドライバーズタイトル連覇を狙うオジエは、ラリー・ドイチェランドで総合8位に終わったことで、ランキングでは3位に後退。トップのオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)とは40点差がついている。
「チャンピオンシップで、さらに難しい状況に追い込まれたことは間違いない」とブダール代表。
「だが、望みがある限り、我々は戦い続ける。2019年シーズンはあと4戦も残っているし、そのなかにはシリーズ屈指の高難度イベントも含まれている。何が起きても不思議ではないよ」
「近日中に次の(第11戦)ラリー・トルコに向けた事前テストを行う予定だし、我々のテクニカルチームも諦めていない。ラリー・ドイチェランドでのデータで我々はさらに強くなるし、シーズンの終わりまで全力で、情熱を持って戦い続ける」