経産省が8月に公開した「キャッシュレス・消費者還元事業」の対象店舗一覧に「読みにくい」という声が上がっている。この事業は10月の消費税増税に伴い、増税による消費の冷え込み解消と、キャッシュレス決済の促進を同時に進めようと行われるもの。特設サイトでは
「需要平準化対策として、キャッシュレス対応による生産性向上や消費者の利便性向上の観点も含め、消費税率引上げ後の9か月間に限り、中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援する事業」
と説明。対象店舗でクレジットカード決済、電子マネー決済、QRコード決済を行うと、2%もしくは5%のポイント還元を受けられる仕組みだ。
サイトでは、対象となる店舗とECサイトを確認することができる。「登録加盟店一覧はこちら」というボタンをクリックすることで一覧を見ることができるのだが、通常の感覚なら、クリックすると別ページに飛んで検索窓で地名などのワードを入力し、調べたい情報を探す、というフローを想定するだろう。しかしこのサイトでクリック後に始まるのは3608ページ、20メガバイトに及ぶPDFファイルのダウンロードだ。
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「HTMLじゃだめだったのか」「3000ページもあるPDFなんて作るな」
PDFの1ページ目には、都道府県ごとの登録店舗数が掲載されている。8月21日時点では、東京都で約6万6000店舗、神奈川県で約2万2000店舗の登録があるようだ。
2ページには目次があり、3ページからは北海道から順に、対象店舗の記載が延々続く。3ページから2793ページまでは各市町村の店舗名が並び、通販サイトのリストにたどり着くのは2794ページ目だ。
編集部が確認したところ、PDF内での検索は可能になっているようだ。自分の住む自治体やよく行く市町村名などで検索すると、使えるお店がわかる仕組みにはなっている。しかし、スマホのブラウザの機能を使ってサイト内検索をする人は少数派だろう。さらにスマホでPDFをダウンロードすると、容量の重さからダウンロードに1分近くかかった。スマホが主流の現代、この仕様はとても使いにくい。
せめて冒頭の地図ページで、都道府県の画像をクリックして当該自治体のリスト一覧に飛べるようになっていたらと思うが、そんな工夫はされていない。ネットではこのリストに、「見やすくしてもらえませんかね」「HTMLじゃだめだったのか」「3000ページもあるPDFなんて作るな」などの突っ込みが多く見られた。
同サイトでは利用対象になるクレジットカードや電子マネーなどの種類も一覧にして掲載してあるが、こちらはPDFではなく、検索窓がある1つのページとして用意されている。自治体やECサイトのリストも同様の仕様にならなかったことを、なおさら疑問に感じている人も多いようだ。