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父と息子の軋轢と邂逅を描く ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督最新作『読まれなかった小説』11月公開

2019年09月02日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『読まれなかった小説』(c)2018 Zeyno Film, Memento Films Production, RFF International, 2006 Production, Detail Film,Sisters and Brother Mitevski, FilmiVast, Chimney, NBC Film

 『雪の轍』で第67回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督最新作『The Wild Pear Tree(英題)』が、『読まれなかった小説』の邦題で11月29日より公開されることが決定した。


参考:『PARASITE』パルムドール受賞から考える韓国映画の現在 第72回カンヌ国際映画祭を振り返る


 本作は、カンヌ国際映画祭で8つの賞のほか、世界中で93モノの賞に輝くジェイラン監督の父と息子の軋轢と邂逅を描いた最新作。シナンの夢は作家になること。大学を卒業し、トロイ遺跡近くの故郷へ戻り、処女小説を出版しようと奔走するが、誰にも相手にされない。シナンの父イドリスは引退間際の教師。競馬好きな父とシナンは相容れない。気が進まぬままに教員試験を受けるシナン。父子の気持ちは交わらぬように見えた。しかし、2人を繋いだのは意外にも誰も読まなかったシナンの書いた小説だった。


 ジェイラン監督が、知人父子の物語に魅了され自身の人生も反映させて完成させたのが本作だ。繰り返されるバッハの旋律、作家志望のシナンが訪れる書店に飾られたフランツ・カフカやヴァージニア・ウルフの肖像、チェーホフ、ドストエフスキー、ニーチェら世界中の偉大な作家たちを感じさせる語り口から物語は描かれる。(リアルサウンド編集部)