ここ数戦、優勝争いしてきたレッドブル・ホンダにとっては、夏休み明け初戦となったF1第13戦ベルギーGPの5位という成績は、決して喜べる結果ではない。
しかし、今回の5位はホンダが2015年にF1復帰して以降、ベルギーGPにおける最高位である。しかも、それはグリッドペナルティによって17番手からスタートして勝ち取った結果だったことを考えれば、5位以上の価値のある結果だった。
さらにそのレースを演じたのが、ハンガリーGP後にピエール・ガスリーと入れ替わってレッドブル・ホンダに加入したばかりのアレクサンダー・アルボンだったという点も忘れてはならない。
「今週末は、正直かなり緊張した状態の中で、グランプリを戦っていたことを考えれば、5位は悪くない結果。いまは少しリラックスしている。でも、僕には改善すべきところがたくさんあるから、これからの数日間はモンツァに向けて、宿題に取り組むつもりだ」
アルボンは今年F1にステップアップしたばかりで、一戦ごとに成長している。この日の走りといくつか披露したオーバーテイクは、今後のレースに明るい材料となったことだろう。
もうひとつ、レッドブル・ホンダがこのベルギーGPで得た収穫は、アルボンのマシンにのみ搭載したホンダのスペック4となるパワーユニット(PU/エンジン)がパワーサーキットのスパ-フランコルシャンで、週末を通して問題なく走り、かつ力強かったことだ。ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターも次のように評価した。
■スペック4は問題なく機能、一方で課題も
「われわれとしては、今週末に投入したスペック4のPUが問題なく機能し、多くのデータを収集できました。ここからさらに分析を進め、今後のレースにつなげていきたいと思います」
それはベルギーGPでのレース中の走行データからもわかる。レース中の最速ラップは全体の5番手だが、最高速はルノーのニコ・ヒュルケンベルグの時速321.7kmに次ぐ時速321.4kmだった。またセクタータイムでもアルボンはセクター1は4位、セクター2と3は5位と安定した速さを見せていた。
ただし、課題も残った。それはスタートだ。5番手からスタートしたマックス・フェルスタッペンは、こう説明した。
「最悪のスタートだった。リアクションが良くなく、さらにクラッチをリリースしたらホイールスピンを喫した」
もし、スタートで出遅れていなければ、1コーナーでのキミ・ライコネン(アルファロメオ)との接触も回避できていただろう。そうなっていれば、「優勝争いは無理だっただろうが、ボッタスやセバスチャン(・ベッテル)とレースしていたはず」
次戦イタリアGPは、レッドブル・ホンダにとって決して相性が良いサーキットではない。しかし、もしフェルスタッペンのマシンにスペック4が搭載されれば、フェラーリやメルセデスと決して戦えないわけではない。そのことを、この日のアルボンはスパ-フランコルシャンで証明していたように思う。