9月1日現地時間午後3時10分、2019年F1第13戦ベルギーGP決勝が行なわれ、フェラーリのシャルル・ルクレールがF1初優勝を飾った。レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンはリタイア、アレクサンダー・アルボンは5位入賞を果たしている。
前日のFIA-F2レースで亡くなったアントワーヌ・ユベールに1分間の黙祷を捧げた後、ドライバーたちはコクピットへ。早朝に降って一度は止んだ雨が、決勝の2時間ほど前に再び降り出して路面はウエットに。気温は15度と金曜土曜よりも10度以上低く、路面温度も22度しかない。
金曜から多くのドライバーが年間3基の規定を超えるパワーユニット(PU/エンジン)のコンポーネントを投入してグリッド降格ペナルティを科され、予選後には暫定13番グリッドだったアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)も4基目を投入し最後尾スタートのペナルティに。合わせてギヤボックスも新品に換えた。
カルロス・サインツJr.(マクラーレン)はMGU-K(運動エネルギー回生システム)とES(エネルギー・ストア)を交換して10グリッド降格。
そのためグリッドはダニエル・リカルド(ルノー)10番手、チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグ12番手、サインツ15番手、ランス・ストロール(レーシングポイント)16番手、アルボン17番手、ジョビナッツィ18番手、ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)19番手。
予選ノータイムで特例出場許可のロバート・クビサ(ウイリアムズ)はICE(内燃機関)、TC(ターボチャージャー)、MGU-H(熱エネルギー回生システム)を交換したうえリヤウイングを別仕様に変えてピットスタートとなった。
各車ともソフトタイヤをスタートに選び、クビサを含めた後方4台とジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)だけがミディアムタイヤを選んだ。
スタートでポールポジションのルクレールがホールショットを奪い2番手セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、3番手ルイス・ハミルトン(メルセデス)が順にターン1に飛び込んで行くが、フェルスタッペンは発進加速が鈍くキミ・ライコネン(アルファロメオ)、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)が先行。
しかし、ブレーキングを遅らせてインに飛び込んだフェルスタッペンは行き場を失ってライコネンと接触しライコネンのマシンがジャンプ。フェルスタッペンは左フロントサスペンションが壊れており、オールージュを曲がりきれずタイヤバリアに突っ込んであっけなくリタイアとなった。
その後方ではフェルスタッペンに詰まって行き場をなくしたリカルドがストロールに接触されてこちらもマシンが飛び上がる。リカルドとライコネンはフロントウイングを壊しておりピットインして交換、ミディアムに履き替えて挽回を図る。スタートでパワーデリバリーに問題を抱えたサインツは大幅に出遅れてピットに戻り最後尾で何とか戦線復帰を果たした。
これで順位は首位ルクレール、2番手ベッテル、3番手ハミルトン、4番手バルテリ・ボッタス(メルセデス)、5番手ランド・ノリス(マクラーレン)、6番手ロマン・グロージャン(ハース)、7番手ケビン・マグヌッセン(ハース)、8番手ペレス、9番手ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)、10番手ストロール、11番手クビアトとなった。17番グリッドだったアルボンは13番手まで浮上している。
レースは4周目に再開される見込みだったが、サインツが最終シケインにマシンを止めてしまい延長。翌5周目に再開となった。
2番手ベッテルはターン1のブレーキングでフロントタイヤをロックさせて挙動を乱してしまうが、続くケメルストレートで襲いかかるハミルトンとボッタスをなんとか抑えて2番手を守り切った。一方、アルボンはストレート車速の伸びるヒュルケンベルグに抜かれて14番手に下がってしまった。
各所で膠着状態が続くが、10周目にはペレス、11周目にはガスリーがマグヌッセンをパスして7番手・8番手に上がる。ハース勢はストレートが伸びずに苦労している。
2番手ベッテルよりペースに余裕がある様子のハミルトンだが、ベッテルに接近して抜くのは苦労する。16周目にベッテルがピットインすると、メルセデスAMG勢やルクレールはこれに追随せずステイアウト。この間に計算上はベッテルが前に出る。
21周目にルクレールがピットインしミディアムに履き替えてコースに戻ると、ベッテルの5秒後方に。翌22周目にハミルトンがピットインするが左リヤのロスで3.6秒掛かってしまいルクレールの3秒後方へ。ボッタスはさらに翌23周目にピットインし、こちらは2.1秒でスムーズにコース復帰を果たした。
27周目のメインストレートでフェラーリはベッテルにポジションスワップのチームオーダーを発令し、ベッテルはこれに従ってルクレールを先行させる。後方からは3番手ハミルトンが徐々に迫り、ベッテルは早めに履いたタイヤがレースの最後まで保たないと思うと無線で訴える。
ハミルトンはなかなかベッテルを捕まえられずリヤタイヤのオーバーヒートに苦しみながらも、32周目のケメルストレートでDRSを使い、インを守るベッテルをアウトから抜き去った。
ボッタスにも詰め寄られたベッテルは、33周目にピットインしてソフトに履き替えてボッタスの18秒後方に戻り、ここから挽回を狙う。
後方では34周目にソフトを履いているクビアトとアルボンがミディアムのリカルドを抜いて7番手・8番手に浮上。アルボンはターン8から9へサイドバイサイドでアウトから見事に抜き去った。アルボンはさらに37周目のケメルストレートでクビアトを抜いて7番手へ上がった。
その後方のガスリーはミディアムを履いており、リカルドの攻略に苦戦。その間にソフトを履くジョビナッツィに抜かれてしまった。ジョビナッツィは38周目にリカルドも抜いて9番手に上がった。苦戦していたガスリーも翌周のケメルストレートエンドでリカルドを抜いて10番手に入った。
レース終盤に入りルクレールは中団グループのトラフィックに引っかかったこともあってペースが伸び悩み、ハミルトンが一気にギャップを縮める。
残り1周で1.5秒を切り、ターン10ではジョビナッツィがタイヤバリアにクラッシュする事故が起きるが、ルクレールは何とかそのポジションを守り切って待望の初優勝を挙げた。2位には0.981秒差でハミルトン、3位ボッタス、ベッテルはファステストラップを記録したもののボッタスに13.837秒届かず4位に終わった。
中団グループトップの5位を走行していたノリスは最終ラップに入ったところでパワーを失ってストップ。最終ラップにペレスをオーバーテイクしたアルボンが5位でフィニッシュすることに成功した。
7位にはクビアト、8位は最終ラップのターン5でガスリーを抜いたヒュルケンベルグ、ガスリーは9位入賞、最終ラップの2台リタイアで10位にストロールという結果になった。