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乃木坂46『真夏の全国ツアー』最終日はグループの転換点に? 明治神宮野球場に刻まれた成長の軌跡

2019年09月01日 15:11  リアルサウンド

リアルサウンド

 乃木坂46が7月からスタートした『乃木坂46 真夏の全国ツアー2019』が、本日9月1日に明治神宮野球場(以下、神宮)でファイナルを迎える。


参考:乃木坂46ドキュメンタリー撮影で見えたグループの裏側とは? 岩下力監督インタビュー


 2014年から始まった神宮でのライブも今年で6年目。当時、単独ライブの開催はTHE ALFEE以来、14年ぶりの快挙だった。収容人数は、約3万7千人。乃木坂46にとって神宮は、ホームグラウンドであり、聖地と呼ばれる場所に変わっていった。この機会に、乃木坂46が神宮で紡いでいった歴史を振り返っていきたい。


 初年度となる2014年は、10月にシングル『何度目の青空か?』のリリースを控えた頃。学業に専念するため活動を休止していた生田絵梨花が、ツアー千秋楽の神宮で復帰を果たしたのがこの年だ。ヘリコプターに乗って神宮に降り立つという演出を経て、後光のようなオーラを纏ってステージに登場した生田、鳴り出す「何度目の青空か?」のイントロ、全てが上手く絡み合い幻想的なステージを作り上げていたのを思い出す。ほかにも、トピックを挙げれば、この年限定で使用されていた「OVERTURE(BOOM BOOM SATELLITES Ver.)」、病気療養中だった橋本奈々未がステージに立ち、SKE48と兼任中だった松井玲奈がテレビ電話でメッセージを届けた。多忙を極める乃木坂46のメンバー全員が揃うのは、今では大晦日の音楽特番か『真夏の全国ツアー』か、と言われている。今思い返せば、この時からその姿勢は一貫して続いているのかもしれない。


 2015年は神宮2DAYS、ドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』の公開に合わせ、“乃木坂46らしさ”を見出す公演となった。生駒里奈が「神宮ー!」と叫ぶ画が思い浮かぶファンも多いだろう。2016年は3DAYSとなり、体調不良でツアーを休養していた桜井玲香が復帰。「裸足でSummer」センターの齋藤飛鳥が初めて座長を務め、感極まりながら「神宮ー!」と絶叫。深川麻衣がセンターを務めていた「ハルジオンが咲く頃」が、川後陽菜へと引き継がれ、神宮がサイリウムによる黄色と白の鮮やかな「ハルジオン」に染まる一幕もあった。


 ファンはもちろん、メンバーからも語り継がれているのが、2017年の神宮だ。アンコールの「インフルエンサー」でサプライズ登場したバナナマン・日村勇紀扮するヒム子、初の東京ドーム公演の発表などトピックは多くあるが、序盤に設けられた3期生、2期生、1期生とバトンを繋ぐように披露されたブロックは、多くのファンを歓喜させた。なぜならば、“不遇”と言われ一度も揃うことのなかった2期生が、初めて全員でステージに立つことが出来たからだ。「バレッタ」「嫉妬の権利」「きっかけ」など、2期生にとって思いの詰まった楽曲の披露に、会場は大きな感動に包まれた。


 昨年は、明治神宮野球場と秩父宮ラグビー場の2会場を行き来しながらの“シンクロニシティライブ”という偉業を成し遂げた。単独ライブを2会場で同時開催するというのは、これまでに類を見ない初の試みだ。メンバーは会場を自転車で移動し、選抜とアンダーが常にステージに出ずっぱりの状態。同じ曲でも会場によって立ち位置が違うといった、メンバーにとっては今まで以上に過酷な神宮となった。乃木坂46の神宮に毎年雨は付きものだが、この年の初日はメンバーも笑ってしまうほどの本降りに。北野日奈子の休養明け初のステージでもあった。


 今年の神宮ファイナルは、キャプテン・桜井の卒業コンサートも兼ねた開催となる。最初で最後のソロ曲「時々 思い出してください」にも表れている伸びやかな歌声、キレのあるダンスパフォーマンスが見られなくなるのは寂しいことであり、何よりこれまで桜井が務めていたグループのMCが秋元真夏へと変わるということも、乃木坂46のカラーがまたガラッと変わっていくであろう。感動と同時にグループの転換点を感じられる卒業ライブになりそうだ。


 また、老朽化した神宮と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えて建設する明治神宮外苑地区の再開発が、2021年に着工となる(神宮球場と秩父宮ラグビー場の入れ替え、31年にも完了)。全体の完成は10年後の2031年。早ければ、乃木坂46の神宮開催も2020年をもって一旦の区切りを迎える可能性もあるということだ。様々な思いとグループの歴史が染み付いている神宮。今年もまた、聖地で一夏の思い出が紡がれていく。(渡辺彰浩)