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Hey! Say! JUMP、FANTASTICS、PENTAGONトップ3を独占 文化的豊かさが表れたチャートに

2019年09月01日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

FANTASTICS from EXILE TRIBE『Dear Destiny』(CD+DVD)

参考:2019年9月2日付週間シングルランキング(2019年8月19日~2019年8月25日/https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2019-09-02/)


 ジャニーズ、LDH、K-POP。2019年9月2日付のオリコン週間シングルランキングは、上位3組を前述のような男性アーティストが占め、さながら現在のJ-POPシーンの縮図の様相を呈しました。今週は、この3組がどんな楽曲を届けているのかを聴いていきましょう。


 1位を獲得したのは、Hey! Say! JUMPの『ファンファーレ!』。2007年に結成された彼らの25枚目のシングルです。


 ピアノのソロで幕を開ける「ファンファーレ!」は、やがてブラスセクションの音色も響く雄大なイントロへ。ところが、Aメロでは一気に音数が減り、ボーカルを浮かびあがらせます。かなり大胆な構成です。そして、ストリングスの音色とともにBメロが昂揚していったかと思うと、サビの直前で突然無音に。このタメの入れ方もまた大胆です。


 「ファンファーレ!」では、ブラジルのサンバを意識したであろうリズムが鳴り続けます。全編を通じて、トリニダード・トバゴ共和国で生まれたスティールパンの音色も響くなど、カリブ海から南の音楽的な要素を取り入れているのが特徴です。「夏キュン」をキャッチコピーに掲げ、カリブ~ラテンを志向し、結果としてHey! Say! JUMPのボーカルの艶っぽさを引きだすことに成功しているのが「ファンファーレ!」です。


 2位は、FANTASTICS from EXILE TRIBEの『Dear Destiny』。2016年に結成されたグループの3枚目のシングルです。


 「Dear Destiny」は、冒頭からボーカルの高音が美しいミディアムバラード。厚いストリングスの音色が響く一方、トラックではトラップも鳴るなど、ビートはヒップホップに根づいている点はFANTASTICS from EXILE TRIBEというグループの特性を感じさせます。


 過剰なことはせず、丁寧なサウンドプロダクションによって、ファルセットを効果的に使ったボーカルを堪能させるのがFANTASTICS from EXILE TRIBEの「Dear Destiny」です。


 3位は、PENTAGONの『HAPPINESS / SHA LA LA』。2016年に韓国、日本、中国のメンバーによって結成されたグループが、日本でリリースした2ndシングルです。


 タイトル曲のうち「HAPPINESS」は、スクラッチの音が鳴る一方、1990年代を連想させるドラムやキーボードの音色がトラックを特徴づけています。そこに乗るのは、驚くほど流暢な日本語のボーカルで、その歌声は生々しくワイルドです。それに対して、もう1曲のタイトル曲の「SHA LA LA」は、オルタナティヴR&BやEDMといった近年のトレンドを汲んだサウンド。PENTAGONは、サウンドの時代性を自由に行き来します。


 こうして上位3枚を比べても、サウンドの方向性はあまりにもバラバラ。文化的な豊かさが表出したかのような、歓迎すべき混沌ぶりです。(宗像明将)