2019年F1第13戦ベルギーGPは、レッドブルのアレクサンダー・アルボン、そしてトロロッソのダニール・クビアトに最新パワーユニット(PU/エンジン)であるスペック4を投入。金曜の段階では正確な位置はまだ分からないものの、2台のマシンは順調に周回を重ねデータを取ることができた。初日の状況を田辺豊治テクニカルディレクターに聞いた。
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――スペック4を初投入した初日は、どんな1日でしたか。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):問題なく、2台とも順調に周回を重ねました。明日以降の予選、レースに向けて、最適化の作業を進めて行きます。
――想定した性能は出ていますか?
田辺TD:まだ金曜日なので手を付け始めたところですが、思い通りの性能で走れていますね。
――ふたりのドライバーからは、どんなフィードバックがありましたか。
田辺TD:まだ特にありませんが、ドライバビリティ含めて、問題ないレベルです。ただトロロッソの方はマシンバランスに苦労していますので、まだそこまで十分言及できないかもしれません。
――旧スペックの方ですが、フェルスタッペンがFP2で「パワーがなくなってる」と言っていました。
田辺TD:データ上の異常が見えているので、これから解析します。エンジンブレーキの際にドライバビリティの問題も言っていましたが、いずれも調整で改善できるはずです。
――最終コーナー手前でエンジンがカットオフするような音がして、そのあとパワーが出なかったということでした。
田辺TD:それぞれ関連性があると考えています。
――今までもよく出て来た症状なんですか?
田辺TD:いえ、今までそういうことはなかったので、しっかり調べないといけないですね。とにかく走行中にパワーロスの症状が出たことは、エンジンメーカーとしては軽視できないですから。
――この症状は、フェルスタッペンだけですか?
田辺TD:そうですね。なぜマックスだけなのか、その理由も現時点では何とも言えないですね。
■F1第13戦ベルギーGPではフェラーリ以外の9チームが新スペックを投入
――今日の区間タイム比較では、高速区間のセクター1と3で負けています。パワー的に負けているわけではない?
田辺TD:そこは正直わかりませんが、まだ追い付いていないと思っていますし、ライバルたちも新しいスペックを導入している。彼らも決して休んでいないですから、追い付くのは本当に大変です。
――今週末はフェラーリ本家を除く9チームが、新しいパワーユニットを入れています。ライバルたちの動向を見て、スペック4搭載車を急きょ増やすなど、そういう戦略上の選択肢も考えていますか?
田辺TD:いえ、今のところは計画通りに行く予定です。ただその辺は、さらにデータを取って、タイヤのデグラデーションや、ミディアムとハードタイヤのタイム差、最高速がどれぐらい負けているか、コーナリングスピードはどうかなどなど、全部ひっくるめて解析して、どうするのが一番いいかを考えるつもりです。その結果によっては、計画が変更されるかもしれない。でも今のところは、今週末のスペック4は2台のままです。
――改めてですが、スペック3からすペック4への性能向上で一番大きいのは何ですか?
田辺TD:一番は絶対的な出力、パワーですね。もちろん耐久性も高いレベルにないといけないですから、出力を上げた分、耐久信頼性も上げています。
――それによって、ライバルとの差を縮めることを意図しているということでしょうか。
田辺TD:もちろんそうですが、さっきも言ったように彼らも改良版を投入している。追い付くのは、簡単なことではありません。