レッドブル・ホンダにとって、夏休み明け初戦となったF1第13戦ベルギーGPは、2つの新しい武器が投入された。
ひとつは、ドライバーラインアップ。レッドブルはハンガリーGP後に、成績が向上しないピエール・ガスリーに代えて、トロロッソからアレクサンダー・アルボンを移籍させた。
アルボンはここ数年のレッドブル育成ドライバーが金曜日のフリー走行を経験してからF1にデビューしたのとは違い、プレシーズンテストを経て、いきなりF1にデビューした。それでも、2戦目のバーレーンGPで初入賞を遂げると、第3戦中国GPではFP3のクラッシュによって予選に出場できなかったものの、最後尾からのスタートで10位入賞を果たし、非凡な才能を見せた。
F1デビューから、わずか13戦目でレッドブルに昇格したドライバーは、アルボンが初めて。プレッシャーがかかるのは当然だが、アルボンはフリー走行1回目でチームメイトのマックス・フェルスタッペンからわずか1000分の77秒となる4番手という好位置につけ、レッドブルの期待に応える走りを披露した。
ベルギーGPでレッドブルが手にしたもうひとつの武器は、ホンダのスペック4となるパワーユニット(PU/エンジン)だ。
ただし、ホンダはレッドブルと協議し、アルボンにのみ投入した。
その理由を田辺豊治F1テクニカルディレクターは「ペナルティの状況、選手権ポイントなども考えて、総合的に判断した」と説明した。ベルギーGPの舞台となるスパ-フランコルシャン・サーキットは山間部にあるため、天候が急変することがある。もし、雨となれば、2台そろって最後尾からスタートするのは得策ではないと考えのだろう。
■グリッド後方スタートが確定しているアレクサンダー・アルボンはロングラン重視
もうひとつの理由は、スペック3でもベルギーGPでライバルと戦える可能性があるからだ。田辺TDは「われわれはまだPUの性能においてライバルに追いついたとは思っていない」と語るが、フェルスタッペンは「パワーサーキットのスパ-フランコルシャンは僕たちが得意とするサーキットではないけれど、シルバーストンで僕たちはコンペティティブだったことを考えると、どうなるかわからない」と答えている。
ベルギーGPの初日の結果はフェルスタッペンが6番手で、アルボンは10番手だった。しかし、フェルスタッペンのベストタイムはソフトタイヤではなく、ミディアムタイヤで記録したもの。またアルボンはベストタイムはソフトでマークしたが、すでにグリッド後方からのスタートが決まっているため、レースを見据えたプログラムを中心に消化していた中で叩き出したもの。
「スペック4はフリー走行1回目から、予定していた2台(アルボンとダニール・クビアト)に搭載して、グランプリを開始しました。基本的に問題なく、順調に周回を重ねました。これから、土曜日と日曜日に向けて、データの最適化を進めていきます。まだ金曜日の段階なので、スペック4の性能をはっきりと判断することはできませんが、思いどおりの性能で走っていました」
アルボンとスペック4の真価を問うのは、土曜日以降になりそうだ。