元F1ドライバーのデビッド・ブラバムが代表を務めるブラバム・オートモーティブと、アメリカのタイヤメーカーであるグッドイヤーは8月29日、両社の間でグローバルパートナシップを締結したことを明らかにした。
今回の提携は、ブラバム・オートモーティブが開発した新型トラック専用マシン『ブラバムBT62』を含むレーシングカーおよび、ロードカープログラムにおいて装着タイヤの共同開発を実施するというもの。また、2021/2022年シーズンに予定されているBT62のLM-GTE Proクラスへの参戦を固める基礎となると考えられている。
発表は今週末、イギリス・シルバーストンで開催されるWEC世界耐久選手権で、グッドイヤーが耐久レースシリーズに復帰するのに先立つ形で行われた。同時にBT62のレースデビュー予定時期も明らかにされている。
ブラバム・オートモーティブ初の“ハイパーカー”となるBT62は、地元オーストラリアを代表するトラック、マウント・パノラマ・サーキットでコースレコードを打ち破ってみせた限定70台のレーシング・サラブレッドだ。コクピット後方に最高709馬力を発揮する5.4リットルV8エンジンを搭載するこのマシンは、最大1200kgにも及ぶダウンフォースを発生。そのため、モータースポーツ由来のタイヤ開発プログラムが不可欠であったという。
そんなBT62は11月9~10日にイギリスで行われる、ル・マンスタイルの英国車耐久レース『イントゥ・ザ・ナイト』でレースデビューを飾る予定だ。このイベントの舞台となるブランズハッチは1966年のグランプリで3度のF1王者ジャック・ブラバムが勝利を収めた地であり、ブラバムにとっては特別な場所といえる。
ブラバムとグッドイヤーは、かつて結んだパートナーシップの下、1966年シーズンの4勝を含めグランプリ通算26勝をマーク。1同年にはジャックが3回目の戴冠を収め、その翌年にはデニー・ハルムがチャンピオンに輝いた。
「グッドイヤーとブラバムのモータースポーツでの成功は象徴的なものだ」と語るのは、F1王者の子息で自身もル・マンウイナーの称号を持つデビッド代表。
「このパートナーシップはこれまで、F1やスポーツカーレースで信じられないほどの成功をもたらした。今後もブラバム・オートモーティブやBT62、さらには将来の車種を通じて、この勝利の遺産を継承していきたいと考えている」
「モータースポーツにおいて、グッドイヤーが示したグローバルで継続的なコミットメントは、ル・マンへの道を進むなかでふたつマーキーが力を合わせる絶好のタイミングと言えるだろう」
BT62のトラックバージョンは、今週末のWECシルバーストンで耐久レースシリーズに復帰するアメリカのブランドと提携した、3台のLMP2カーと同様のグッドイヤー・レーシングタイヤを履くことになる。
一方、オプションで公道走行を可能としたロードゴーイング版BT62では、『イーグルF1スーパースポーツ』を含む複数のグッドイヤー製ロードタイヤを選択可能となっている。