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『なつぞら』かつての仲間たちが続々とマコプロへ合流 なつは優のために頑張り続ける

2019年08月30日 12:31  リアルサウンド

リアルサウンド

『なつぞら』写真提供=NHK

 「茜さんと一緒がいい」と茜(渡辺麻友)から離れようとしない娘の優(増田光桜)。茜の娘・明子の誕生日を一緒に祝いたいからとのことだ。『なつぞら』(NHK総合)第131話では、子どもと仕事で揺れるなつ(広瀬すず)の姿が描かれた。


参考:『なつぞら』第132話では、夕見子(福地桃子)が天陽(吉沢亮)の近況を語る


 優を連れて帰ることを諦めたなつは、自宅で落ち込んだ様子。帰ってきた坂場(中川大志)にも、優が帰りたくない理由は、明子の誕生日だけではないのではないかと打ち明ける。育ち盛りの娘にとっていつも一緒にいる人というのは、血の繋がりを超えてしまうのではないかと一抹の不安が過ぎる。


 そんな夜更けに、一本の電話が鳴る。優が「ママに会いたい」と泣き出してしまったのだ。夜遅いのもかまわず、なつは下山家に迎えに行き、優を抱きしめる。安心とともに、もう二度とこの温もりを離すことはないという誓いが見て取れる。


 東洋動画では、『キックジャガー』を大ヒットに導いたなつが、次の作品では原画に戻りたいと会社に進言する。子どもが生まれる前と後では、明らかになつが仕事を頑張る目的も優にシフトしつつあるようだ。


 「君のように、原作のイメージを崩さずに、原作以上にキャラクターをかっこよく描けるアニメーターそういないからね」となつを説得する佐藤制作部長(橋本じゅん)。なつは、評価され必要とされる自分と、なりたい自分との葛藤に苛まれ続ける。


 そんな葛藤を抱えるなつに、さらに追い討ちが。古くからの盟友、桃代(伊原六花)が東洋動画を退職するというのだ。なつが最初に入った仕上げ課で彩色をともに手がけていた桃代だが、そんな仕上げのもう一つの業務であるトレースが機械の導入によってなくなってしまう。自分は東洋動画にはもう用済みな存在なのだと。


 そんな桃代を救ったのが、麻子さん(貫地谷しほり)だ。色指定という動画の色を指定するポジションで桃代をマコプロダクションに誘う。坂場に下山さん(川島明)と、かつての東洋動画の仲間たちが続々とマコプロダクションに合流しつつある。


 そんな悩むなつにアニメーターとしての師匠である仲(井浦新)が声をかける。アニメーターから今や中間管理職の立場になった仲さんは、アニメーターと会社の立場の両方の視点を備えたなつのメンターだ。


 子どもと一緒にいたいだけでなく作品に乗れないと明かすなつに、「僕が君に言えることは何もないな。アニメーターとしてどこを目指すのか、それはもう誰も教えてはくれないだろう」と助言を送る。会社に求められる仕事をすることももちろん大事だが、アニメーターは作り手として常に自分が情熱を燃やせる環境にいた方がいいという視点を持ち合わせている仲さんだからこそ伝えられる言葉だ。


 珍しく会社を早く上がることができたなつは保育園に優のお迎えへ。「今日は来てくれてありがとう」と、母が子どもを迎えにいくという当たり前のことにも感謝させてしまう。なつの心中は複雑だ。この悩みを抱え続けたまま、なつは進んでいくのだろう。


(文=安田周平)