夏休み明け初戦となったF1第13戦ベルギーの木曜日のFIA会見の出席者は、ドライバーズポイントで上位からバルテリ・ボッタス(メルセデス)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、アレクサンダー・アルボン(レッドブル)、セルジオ・ペレス(レーシング・ポイント)、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)の5人。
しかし、この会見の最初の質問は、ストーブリーグで話題を集めていたドライバーに向けられてスタートした。それは、夏休み中にトロロッソからレッドブルへの移籍が決まったアレクサンダー・アルボンだ。
「F1ドライバーになって初めての夏休みだったから、思いっきり楽しもうとしていたんだけど、夏休みに入って初日にこの知らせが飛び込んできた。もちろん、チームが発表した月曜日(8月12日)まで、だれにも明かすことができなかったよ」
「いまは少し落ち着いて、週末を迎えることができている。もちろん、シーズン途中での移籍は簡単なことじゃないけど、今年の2月に初めてF1を走らせるプレシーズンテスト前の状況のほうが、僕にとっては精神的にタフな状況だった。『F1ドライバーとしてやったていけるかな』ってね」
「それに比べれば、いまはもう経験も積んだし、夏休みもとって、いくらかリラックスしている。マックスは素晴らしいドライバーだけど、僕は僕の仕事に集中して、最善を尽くすだけ」
今回、マックス・フェルスタッペンとチームメイトとなったアルボンは、カート時代のこんなエピソードを披露してくれた。
「2010年のことだったと思うけど、ヨーロッパ選手権と世界選手権で一緒に戦ったことがあって、何度か接触したことがあったんだ(笑)」
そのアルボンと新しいチームメイトとして迎えることとなったフェルスタッペンは、衝撃の事実を明かしてくれた。
「僕はみんなが知るよりも前に聞かされていた。夏休みに入る前にシミュレーターに乗るためにファクトリーに行ったときだった。僕的には驚きはなかった」
このことが本当だとすると、フェルスタッペンはガスリーやアルボンよりも前にチームからドライバー交代の話を聞いていたことになる。
さて、フェルスタッペンは中盤戦のオーストリアGPからハンガリーGPまでの4戦で最も多くのポイントを獲得したドライバーだ。後半戦に向けての意気込みを次のように語った。
「普通に考えれば、ベルギーGPとイタリアGPは僕たちにとって厳しいレースになるだろう。でも、イギリスGPで僕たちが思っていたよりもコンペティティブだったことを考えると、どうだろうね」
「それと、イタリアGPの後には僕たちに向いているサーキットもいくつかある。それと、伝統的にウチのチームはマシンの開発がライバル達よりも力強くて、後半戦は強い。ただ、チャンピオンシップはちょっと厳しいね。いまはとにかく1戦必勝でレースしていくだけだよ」
■会見前にメルセデス残留が発表されたボッタスも上機嫌
そのフェルスタッペンにドライバーズ選手権で7点差まで詰められているボッタス。しかし、この日はうれしい発表がチームからあった。FIAの記者会見が開かれる3時間前に、メルセデスに2020年も残留することがチームから発表されたのだ。
「最高のニュースだ。チームは後半、より強くなるし、来年も強いチームであることは間違いないと信じている。だから、僕にとって他チームへ行く選択肢はなかった。先週末に僕たちはすでに書類上の手続きは終了していた。あとはチームからの正式発表を待つだけだった」
前日の8月28日は、じつはボッタスの誕生日だった。同郷のフィンランド人記者から「二重の喜びとなったね」を尋ねられると、ボッタスは満面の笑みでこう答えた。
「ありがとう。そうだね、いま話したように、僕は残留するってわかっていたから、誕生日の最高のプレゼントになったよ!!」
ペレスもレーシング・ポイントとの交渉が大詰めを迎えている。
「もう少しで発表できると思う」と語ったペレスは、マシンとの相性のいいベルギーGPでのレースについて、次のように抱負を述べた。
「今週末、ここで僕たちが力強い走りができないはずがない。僕たちはここで再び4番目に速いチームになる。中団グループは接近しているから、ここでいいレースをして、コンストラクターズ選手権でできるだけ上位でフィニッシュしたいんだ」
最後はウイリアムズと3年契約を結んでいるラッセルだ。しかし、この会見で重大発表を行った。
「来年かあ、できれば来年もF1にいたいね……というのは、冗談で、僕は来年もウイリアムズで走るよ。もう、ウイリアムズとは複数年契約でサインしている。来年についても、チームからの正式発表を待つだけ」
この日の会見は、2020年もF1のシートを確保、あるいは確保しそうなドライバーたちだけが集う場となったため、比較的明るい雰囲気の中で行われた。果たして、来週イタリアGPの木曜会見はだれが参加し、どんな雰囲気になるのだろうか……。