IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にマツダチーム・ヨーストから参戦しているオリバー・ジャービスが2016年以来、約3年ぶりにWEC世界耐久選手権に復帰することが明らかになった。
元アウディワークスドライバーであるジャービスは8月31日~9月1日にイギリス、シルバーストンで開催される2019/2020年WEC開幕戦シルバーストンにおいて、チームLNTから出場予定だったクリス・ダインソンの代役を務める。
ダイソンは今週末、シリーズに復帰するジネッタのドライバーとして、マイク・シンプソンと2003年ル・マンウイナーのガイ・スミスとともに6号車ジネッタG60-LT-P1・AERをシェアする予定だった。しかし、彼は先週、ロード・アメリカで行われたトランザム(Trans Am)でのクラッシュによって手首を負傷。この影響でイギリスでの4時間レースを欠場することになったのだ。
「ブレーキを失った後、僕はかなり大きな打撃を受けた」と説明したダイソン。
「ケガはそれほどひどくはないが、LMP1カーのドライブは(患部に)とても大きな負荷をかけることになる。これは賢明ではないと考えたんだ」
「シーズン開幕戦への出場を逃すことになったのは腹立たしいよ。だが、チームとともに日本でのラウンド2に参加することを楽しみにしているんだ」
ジネッタLMP1を走らせるチームLNTは、この緊急事態に対応すべくスポーツカーレースの経験が豊富なジャービスに白羽の矢を立てた。
かつて日本のスーパーGTにも参戦したイギリス人ドライバーが最後にLMP1カーをドライブしたのは、2016年のWECバーレーン6時間レースだ。アウディスポーツ・チーム・ヨーストの一員としてシリーズに参戦した彼は、同ブランドのWECラストレースで見事有終の美を飾っている。
アウディのWEC撤退後、陣営を離れたジャービスはジャッキー・チェン・DCレーシングから2017年ル・マン24時間レースに参戦。LMP2カーながら総合2位表彰台を獲得するなど活躍を続け、現在はマツダドライバーとして北米シリーズのDPiクラスに参戦する傍らIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジに、台湾チームのKCMGからフル参戦しニッサンGT-RニスモGT3をドライブしている。
そんなジャービスは突然巡ってきたチャンスに複雑な気持ちもあるが、新しい挑戦を楽しみにしていると語った。
「今朝、ローレンス(・トムリンソン=ジネッタ会長)から電話が掛かってきて驚いたよ!」
「このような状況下でチームに加わらなければならないことは、決して喜ぶべきことはではないが、再びLMP1カーのステアリングを握るのは本当に楽しみだ」
「(3人のドライバーが)全員イギリス人のラインアップで、英国メーカーのクルマをシェアし、僕たちの“ホームグランド”でレースを戦うことは、まさにケーキの上にアイスが乗っているようなものだ! ジネッタに良い結果をもたらすために、僕の力を貸すことができるのを楽しみにしている」
母国イギリスはシルバーストンで、3年ぶりにLMP1クラスに参戦するジャービスは第2戦富士でも代役を務めることになっている。同ラウンドではLMP2クラスのニューカマー、ユナイテッド・オートスポーツで、ポール・ディ・レスタに代わって22号車オレカ07・ギブソンに搭乗する予定だ。