ポルシェは8月28日、ABBフォーミュラE選手権の2019/2020年シーズンに投入する同ブランド初のフォーミュラEワークスカー『ポルシェ99Xエレクトリック』をワールドプレミアした。
今年11月に開幕する2019/20年フォーミュラEに向けて、電動パワートレイン開発や車両の準備が進められてきたポルシェの新車はユニークなかたちでお披露目されることとなった。
通常、レーシングカーの初披露はサーキットやブランドの施設でのカンファレンス内で公開されることが多い。しかし今回、ドイツのスポーツカーブランドは『Formula E Unlocked』と銘打たれたリアルタイムゲームを通じてこれを実施。
レギュラードライバーとして起用することを発表しているニール・ジャニとアンドレ・ロッテラーのふたりが、ゲームの視聴者とリアルタイムでコミュニケーションを取りながら謎解きを行い、ポルシェのファクトリー内に隠された新車を探し出すというミッションをこなすことでアンベイルに至っている。
初公開された車両はホワイト、ブラック、レッドの3色からなるポルシェワークスカラーが施され、そのラインもGTカーでお馴染みとなっている同ブランドのエンブレムを彷彿とさせるものとなっている。
車両名はポルシェレーシングカーの伝統に倣い3桁の英数字が与えられた。最初の『99-』はプロジェクトの重要性を意味し、後に続く『X(エックス)』はEVの将来を見据えたアプローチとプロトタイプレーシングを表しているという。
将来の完全な電気生産モデルの開発プラットフォームとしても機能するという99Xエレクトリックに搭載されるパワートレインは、2015~17年にWEC世界耐久選手権および、ル・マン24時間レース3連覇を果たしたLMP1カーのテクノロジーを活かして開発されたもの。
『ポルシェEパフォーマンスパワートレイン』と名付けられた電動パワートレインの技術は市販車にも応用され、先日ニュルブルクリンク北コース“ノルドシュライフェ”で4ドア電気自動車の最速ラップタイムを記録したフル電動スポーツカー『ポルシェ・タイカン』にも採用されている。
「今日、ポルシェ99X Electricは、ポルシェの歴史あるモータースポーツ車両の仲間入りを果たした」と語るのは、ポルシェモータースポーツのパスカル・ズーリンデン代表。
「その名とデザインがクルマに最初の特徴を与え、生き生きとしたものになっている。この数カ月間、ポルシェのフォーミュラEプロジェクトに多くの労力を注いできたすべての人にとって、今日は特別な日になったと言えるだろう」
なお、チーム名はこれまで“ポルシェ・フォーミュラEチーム”とされていたが、スイスの高級時計ブランド『タグ・ホイヤー』と長期的なタイトルスポンサー契約ならびに、オフィシャルタイミングパートナーシップを結んだことから、新たに“タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム”と改められている。
今後、チームはスペインのバレンシアで行われるフォーミュラE公式テストへの参加を計画しており、そこではジャニとロッテラーがポルシェ99Xエレクトリックをドライブする予定だ。