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宮沢氷魚が残した杏への“優しい傷” 『偽装不倫』不器用な恋は思わぬ終焉へ

2019年08月29日 06:21  リアルサウンド

リアルサウンド

『偽装不倫』(c)日本テレビ

 全員が、失う悲しみに暮れた『偽装不倫』(日本テレビ系)第8話。丈(宮沢氷魚)は病気のため手術を受けることを決意するが、もし助からなかった時に鐘子(杏)を傷つけまいと別れを告げる。一方鐘子は、自分が本当は独身であったことをついに明かした。しかしその直後に、丈に独身であることを理由に振られてしまい、涙する。さらに葉子(仲間由紀恵)は、風太(瀬戸利樹)に結婚していたことがバレてしまう。風太に直接会って話そうと待ち合わせをしていたところ、賢治(谷原章介)に不倫現場を見られてしまい、賢治にも関係がバレてしまった。賢治は現実を受け入れられないで今まで通り優しく振舞っていたが、現実を突きつける葉子の話を聞いて取り乱す。葉子もそんな賢治の姿に驚き、風太には別れを告げるのであった。


【写真】丈役の宮沢氷魚


 これまで隠し続けてきた嘘が一気に明かされ、物語は大きく進展した。今回の『偽装不倫』では、真実が明かされることで均衡を保っていた関係が崩れていく。賢治のように、葉子を怪しいと思いながらも嘘を真実だと信じて付き合うことで救われる人もいる。風太も、葉子を怪しいと思っていたことはあると鐘子に話したように、それぞれ心のどこかで相手に懐疑的だった部分を押し殺して付き合っていたのだろう。それが一気に現実として自分の前に突きつけられた時、それぞれの登場人物のリアクションには個性が表れた。


 賢治のように取り乱しつつもまたなかったことのようにする人もいれば、風太のように全てを受け止め、それでも望みを捨てない者もいる。そして丈のようにさらに嘘を重ねて相手を守ることもある。こうして各々は新たなステップに歩みを進める。


 第8話では風太が優しく背中を押すことで、葉子も鐘子も再び歩き出すことができるようになった。風太は葉子を責めずに関係を終わらせることを飲みこみ、鐘子にはそっと背中を押すような言葉をかける。自分も傷ついている時に、相手を一番に思いやった。葉子は不倫をしているのに結婚していたことを隠し、鐘子は結婚していると嘘をつき不倫ではないのに偽装不倫をしていたことを、風太は「あべこべだね」と表現し、姉妹の不思議な“嘘”のつきかたを指摘する。それぞれ正反対のタイプの姉妹のように見えて、嘘で関係を築いてしまうところは似た者同士なのであった。


 そして丈は、思いやりゆえに鐘子に別れを告げる。別れても、丈が助からなくても鐘子を傷つけることに変わりはないが、丈は鐘子が“孤独”になることを一番に回避した。鐘子が立ち直れる傷にすり替えたのだ。かなり強引な方法で別れを告げ、鐘子も深く傷ついていたがこれもまた丈なりの思いやりだろう。不器用な二人の恋は思わぬ終焉を迎えた。


 次週は、失恋に落ち込む鐘子をデートに誘う相手役に桐山漣が登場する。『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)で杏との共演経験のある桐山。御曹司役で鐘子のハートを射止めることができるのか、『偽装不倫』は第2章に突入する。


(Nana Numoto)