2019第48回サマーエンデュランス『BHオークション SMBC 鈴鹿10時間耐久レース』は8月25日、決勝レースが行われた。2018年のレースで日本勢最上位となる5位入賞を果たし、予選では小林可夢偉のアタックで6番手を得るなど、多くのファンの期待を集めたメルセデスAMG・チーム・グッドスマイルだったが、レースではいまひとつペースに苦しみ、10位という結果で真夏の一戦を終えることになった。
2018年の鈴鹿10時間では、予選21番手からスタートするも高いペースで順位を上げ、最後は08号車ベントレー・コンチネンタルGT3に片岡龍也が追われながらも5位を獲得。日本勢最上位となる結果を残したメルセデスAMG・チーム・グッドスマイル。2019年のレースに向け、チームは7月のトタル・スパ24時間にも強豪ブラックファルコンとのコラボレーションというかたちで参戦し、SRO規定のレースのノウハウを得ていた。
スパでは突然の雨に片岡龍也がクラッシュを喫してしまい結果は残らなかったが、それでも序盤、アダム・クリストドウロウが速さをみせ、さらに谷口信輝、片岡ともに高いペースを保った。ライバルたちとも戦える手ごたえを得つつ挑んだ鈴鹿10時間だった。
8月23日のプラクティスがすべて雨のセッションとなり、迎えた8月24日の朝のプラクティスで初めてドライセッションを走ることになったが、コンディションもあったかフィーリングは良くない。そこから、午後の予選までの間に急速にセットを合わせることができたのは、スパ24時間参戦をはじめチームが蓄積したノウハウもあるだろう。18番手でポールシュートアウト進出を果たし、河野高男エンジニアが「賭け」と語ったセッティング変更が奏功。アタックを担当した小林可夢偉が、2分01秒024をマークし6番手につけた。
上を見れば、海外の蒼々たるメンバーが並ぶグリッド。しかも他にもワークス格がいるなかで、メルセデスAMG GT3を使うチームの最上位グリッドを獲得した。2018年は21番手からの追い上げだったが、今年は6番手から。否が応でも期待は高まった。
迎えたレースでは、片岡が1周目から5番手にポジションを上げる。ペースも悪くなく、谷口に交代してからは4番手に。さらに、2番手につけていたワーケンホルストの34号車BMW M6 GT3がアクシデントに見舞われてからは、3番手に順位を上げた。
ただその後、可夢偉に交代してからは、フルコースイエローのタイミングも使ってピットインを行うなど攻めのレースを展開するものの、その後はペースがなぜか上がらなくなってしまう。原因はレース直後はまだ特定できていなかったが、ドライバー3人ともが「トップ15のなかでいちばん遅いくらい(片岡)」とペースを上げられず。最後は10位でレースを終えることになった。
ドライバーは3人ともに「悔しい」という言葉を並べたが、それでもグリッドが良かったことも影響し、10位とともにアジア賞2位、スーパーGT賞優勝という結果で賞金を獲得できたのはせめてもの救いか。
「これがレースなので仕方がないですが、なぜペースが上がらなかったのかをしっかり原因を特定しなければいけない」と片山右京監督が語るとおり、この悔しさを繋げていかなければならないというのはチーム全体の意思。可夢偉も「チャンスがあればリベンジしたい」と語ったが、この経験はそのチャンスに活きるはずだ。