京都造形芸術大学(以下、京都造形)が2020年4月から「京都芸術大学」へ大学名を変更すると発表した。同じ京都市にある公立大学「京都市立芸術大学」(以下、京芸)と名称が酷似していると物議を醸している。
同大は8月27日に名称変更を発表したが、翌28日には京芸、門川大作京都市長が声明を出す事態となった。ネット上でも「まぎらわしい」と反対の声が相次ぎ、反対署名を募る動きが出ている。
京芸「法的措置も含めた適切な対応をとってまいります」
京都造形は2021年4月に大学開学30周年を迎える。それにあたり、理念である「京都文藝復興」「藝術立国」の実現に向けて今後10年の将来構想「グランドデザイン2030」を策定。合わせて大学名称を「京都芸術大学」に変更すると発表した。
しかし、京都には「京都市立芸術大学」がある。そのため、京都造形新名称の略称については、運営する「学校法人瓜生山学園」からとって「『瓜芸(うりげい)』『KUA(ケーユーエー)』を使用し、『京芸』『京都芸大』は使用いたしません」とコメント。さらに、
「なお、申し上げるまでもなく、本学は、公立大学法人『京都市立芸術大学』とは異なる大学です」
と注意を促している。
これに対して京芸は28日、京都造形の新名称について「本学の名称や一般に通用している略称と同一あるいは酷似しているため、受験生や本学の学生・卒業生をはじめ、市民の皆様や芸術を愛する幅広い人々に大きな混乱を招くと大変危惧しております」とコメントし、
「そのような事態にならないよう、京都造形芸術大学に対しては名称変更を中止再考されるようお願いしてまいりましたが、その願いを聞き届けていただけなかったことは誠に残念です」
と声明を出した。混乱を招かないように京都造形側と協議を続けるが、「当事者間では解決の方向性を見出し難いと判断した場合は、法的措置も含めた適切な対応をとってまいります」という。
京都造形の在校生が名称反対署名立ち上げ「1番被害にあっているのは、京芸です」
門川京都市長も京都造形の名称変更には難色を示している。28日に発表したコメントでは、京都造形、京芸の功績を讃えながらも、「京都造形芸術大学の名称を『京都芸術大学』に変更されると聞き、驚愕しています」としている。名称変更については、
「既存の大学と混同しないよう、明確に識別できるようにすべきであります。京都造形芸術大学におかれては、今一度新しい名称を再考され、両大学が共に伝統と文化を継承し、発展していくことを望みます」
と記す。
署名サイト「chamge.org」では、京都造形の在学生が名称の反対署名を募っている。説明文には、自身が「京都造形」の呼称もアイデンティティとなっていることや、「1番被害にあっているのは、京都市立芸術大学です」といったことが記されている。そのうえで、
「京都造形芸術大学は本学校在校生、保護者、教員や職員に対して改名は事後報告でありました。そこも考えていただけると光栄です」
と呼びかけている。開始から約7時間で600人以上の署名が集まっている。