働き方改革が流行語のようになり、在宅ワーク、リモートワークという言葉も注目度が上がりました。子育て時短社員のみで運営してきた弊社は、2013年の起業時から数年間は、実は全員リモートワークでした。
イベント現場やたまのカフェミーティングで顔を合わせる程度で、普段の業務は電話・メールやりとり。単に広いオフィスを借りる予算がなかったという事情で行いましたが、私を含めて、小さな子どもを育てながら在宅で働けるメリットとデメリットを実感してきました。
しかしその後、弊社はオフィス勤務中心の体制にしています。今回はそんな実体験を元にしたリモートワークのあれこれをお伝えしようと思います。(文:時短ママ戦略活用アドバイザー谷平優美)
家事が気になってメリハリがつかない、孤独感が募る、働きすぎてしまう
メリットは、
・交通時間を省いて稼働時間を確保できる
・急な家庭事情(自分や家族の病気など)等があっても稼働ができる
・社員の負担が軽減され、働き方に柔軟性がもたせられる
などがあげられます。介護や子育てなど制約条件がある人は、休暇を取るしかない、という状態から、出勤しなくても業務ができる、という選択肢が増えることはそれだけでありがたいものです。そういった事情がない人も、オフィスに行かずにできる仕事を、稼働時間を増やして遂行できたり、満員電車を避けられたりすることは、生産性向上にもつながります。
一方でデメリットもあります。
・すぐ誰かに聞きたいことが聞けない、孤独感が募る社員が出る
・会社が意図する文化醸成ができない、チャット中心では関係性が育ちにくい(オフィス勤務で話しながら電話・チャットをした時と、顔を会わせずツールだけのやりとりだと、同じ話をしても誤解を生んだりマイナス印象をもたらす場合もある)
・ついやりすぎてしまう(サボる人は逆にいないくらいでした。サボる方はオフィス勤務でもサボるのでしょう)
・オンオフのメリハリがつけられない(一人で悩みを抱え込んだり、自己管理できず洗濯やアイロンが気になったり)
・労務管理、情報管理が難しい
労務や情報の管理は、大きな投資ができる大企業であれば解決できるかもしれませんが、多くの中小企業ではそこまで精度の高いシステム構築は難しいでしょう。そうなると、オフィス同様の管理は難しく、ある程度は性善説でリモートワークを運営することになります。責任感が強いスタッフが多いことから、キャパシティ以上にやり過ぎてしまう、抱えこんでしまう、などの事態にもなりがちでした。
「チーム仕事は出社とリモートを組み合わせる」などの工夫で快適な働き方を
上記のような結果から、弊社の「チーム協働体制が重要な運営」には、リモートワーク中心では課題が多くなってしまいました。そこで、オフィス勤務を中心とし、どうしても事情がある場合のみ事前申請の上リモートワークを認める形に変更したところ、コミュニケーションが円滑になりチームの協働体制が非常に向上しました。リモートワーク開始時には専用メールで、作業予定内容と時間を報告、終了時にも成果物とあわせて結果を報告していただいています。
リモートワークは、それぞれの会社事情により異なりますが、以下のことが言えると思います。
・チームより個人で完結する仕事を切り出せると活用しやすい
・可能な限り業務範囲と成果レベルを明確にし、時間にあった作業量を切り出して渡す
・チームで進める場合は自社業務に適した運用方法を模索し、顔を合わせたコミュニケーションを前提に、組み合わせて柔軟に運用するのがおすすめ
・できる企業はシステム投資をして、できる限り快適な環境を整備してみる
言葉先行で、とにかく在宅でやってみよう!と見切り発車してしまうと、デメリットの方が後から目立ってしまいます。せっかく働きやすくなる機会ですから、リモートワークへの社内の印象が悪くなってしまうのは本末転倒です。想定できる準備をして、自社に合わせた運用を、改善しながら実施されてみてはいかがでしょうか?
【筆者プロフィール】
谷平 優美
時短ママ戦略活用アドバイザー/株式会社ルバート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、総合人材サービス会社で新規事業立上げ・執行役員を経て、 株式会社リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。WEB企画・マーケティング、法人営業を経て退職。出産前後には専業主婦やフリーランスも経験。サロン講師、就職講座講師やキャリアカウンセリングをしながら、無理ない子育て中の働き方を模索するも待機児童となり認証保育園を利用しながら活動。転職支援・キャリア教育に関わった経験と、出産後に感じた様々な社会への違和感に何か発信をしたいと2012年にママハピを創業。2018年、社名変更後は時短ママのジョブシェア体制で事業運営。J-WAVEやフジテレビライブニュースα、東洋経済、NewsPicksなどメディア実績多数。2児の母。