F1ブログ「Shots!」を連載している熱田護カメラマンが、ホンダの山本雅史F1マネージングディレクターに読者からの質問を届ける特別企画。素朴な疑問から人生相談までなんでもござれ(たぶん!)。さて、今回はどんな質問に応えてもらえるのでしょうか。
今回の第11戦ドイツGP時の取材では、そのとき現地を訪れていた全日本スーパーフォーミュラ選手権およびスーパーGTのディフェンディングチャンピオンの山本尚貴選手も同席しています。
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読者:高瀬さんからの質問
──山本さんは今やホンダF1の顔とも言える存在ですが、そんな山本さんがホンダを選んだ理由はなんでしょう?もちろん車好きなのはわかりますが、数ある車メーカーの中で何故ホンダを選んだのか。その事を知りたいです。
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):初代シビックRSという車が我が家にあって、そのRSに憧れて、ホンダという自動車メーカーを知ったんです。その次に憧れたのが初代アコードセダン、丸目4灯の車です。そのスタイルを見てホンダっていいなって思って、その結果ホンダに憧れたんです。
熱田護カメラマン(以下、熱田カメラマン):レースでは無いんですね。
山本MD:そう、レースでは無いんですよ。レースはホンダに入社してレーシングカートに乗ったのがきっかけでした。
読者:戸張さんからの質問
──私は大学一年生の時に免許を取り、そこから車に興味を持ってスーパーGTや、F1などモータースポーツが大好きになりました。(今年は鈴鹿にF1を見に行きます!)。そして現在は大学四年で、来年からは社会人となりますので、車を購入しようと考えています。そこで私はMTの車に乗りたいと考えているのですが、親や友人からは「絶対に面倒くさくなる」とやや反対されています。そこで山本さんの意見を聞かせて頂きたいです。
山本MD:まず、モータスポーツを見に来てくれてありがとうございます。そして質問の件ですが、MTですね!
僕の意見としては、自分がMTを乗ってみたいと思ったらそれでいいと思います。僕も最初はMTに乗っていましたし、 MTならではの面白さもありますからね。
熱田カメラマン:山本尚貴さんいかがですか?
山本尚貴選手:車の運転と言えば、まず、MTでは無いでしょうか。車を楽しむジャンル、レベルが少しATとは違いますよね。MTは、自分の操作で車の挙動も変わるし、回転数も自分でコントロールできる。車を操作する幅が圧倒的に広がるのでより楽しいですよね。
──ということで、ふたりの山本さんは、MT推薦ということでした。ホンダでいうと、S660かシビックですかね。
■この仕事をしてきて最も嬉しかったことと、逆に最も辛かったことは?
読者:鈴鹿風さんからの質問
──グランプリを転戦した中で、日本以外での好きな国を教えて下さい。
山本MD:スペイン、イタリアですかね。ご飯が美味しい!
──この仕事をしてきて最も嬉しかったことと、逆に最も辛かったことを教えて下さい。
山本MD:最も嬉しかったことは、レースに勝った時の喜びですね、昨年のスーパーGTのGT500でチャンピオン獲得。そしてもちろん、F1のオーストリアとドイツでの優勝、モータースポーツの現場に立ち会えてそこでの勝利というのは格別です。
逆に辛かったことは、たくさんありすぎて……
レースで勝つためには、他のチームより優れていないといけないわけですから、テレビなどには映らない、裏で動いている辛さというのは、なかなか言えない部分も多いし、組織の中で動いていますから、思い通りにならなかった時に、自分の考え通りにすればうまくできたのにと思う時の辛さが大きいですね……。
僕は、基本ポジティブ派なんですよね。ネガティブにものを考え出すとキリがないですからね。
会社組織でレース活動の中で重要な要素として、プロのレーシングドライバーと契約するわけです。レーシングドライバー、ライダーの仕事は怪我のリスクもある命をかける仕事であるし、1年1年……いや、1日1日で勝負しているわけですから、当然それなりの対価をもらうべきだと思っているんです。我々はその人たちの人生を預かっているとも言えるんですよね。
ホンダの看板を背負って走ってもらうわけですから、当然こちらも真摯な態度で向き合わなければならないと思っています。担当者には、20代前半の3年間で選手のことを見極めなさいと言っています。
我々は選手の人生を左右してしまう立場にあるわけです。20代後半になって先も見えないのに毎年契約更新すると、その選手自身のためにならないですからね。
厳しいですが25歳くらいまでに判断してあげることが大事だと、そうすれば大学院卒業して再就職するようなイメージになるでしょうと言ってあります。
それぐらいしっかりと、選手との契約を考えなければならないし、時には契約更新できませんと告げなければならなくなった時に理解を求め、言いにくい事も言わなければならない、そういう意味では普通の仕事よりも辛いかもしれませんね。
いいことが100あれば、辛い事も100あるんです、人生そんなもんです!