2019年08月27日 10:11 弁護士ドットコム
「出会い系で知り合った女性が妊娠しました。子どもを堕ろしてほしい」。このような相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
【関連記事:ビジネスホテルの「1人部屋」を「ラブホ」代わりに――カップルが使うのは違法?】
相談者によると、相手の女性はバツイチのシングルマザー。相談者には妻子がおり、相手女性とは割り切った「体だけの関係」を続けていたようです。
相談者は、女性に「ピルを飲んでいるから大丈夫」と言われ、安心していたといいます。女性は「子どもを堕ろしたくない。認知してほしい。DNA鑑定してもよい」と言っているとのことです。
相談者は子どもを認知しなければならないのでしょうか。男女問題に詳しい田中真由美弁護士に聞きました。
ーー相談者は「ピルを飲んでいるから大丈夫」という女性の言葉を信じていたようです。このような場合でも、子どもを認知しなければならないのでしょうか
「相談者は、相手の女性、もしくは生まれてくる子どもから認知をするように求められた場合、子どもを認知しなければいけません。
『ピル(避妊薬)を飲んでいるから大丈夫』という言葉を信じて性交渉をした結果、女性が妊娠した場合でも、『ウソをつかれたから認知しない』という言い訳は通用しません。避妊をしたとしても100%避妊が成功しない場合もありえます。この場合も同じです」
ーーなぜ、このような場合においても認知しなければならないのでしょうか
「認知は、『子の父親である』という事実に基づいて行われる手続だからです。性交渉にいたる動機や経緯などは、全く影響を及ぼしません。
今回のケースでも、女性が相談者と性交渉をして、その結果、女性が妊娠している事実は間違いないようです。
女性が出産した後、女性または子が希望すれば、認知の手続きをすることができます」
ーー認知の手続きとは、どのような手続きなのでしょうか
「認知したくないということであれば、相談者は、自分から認知をする必要はありません(任意認知)。
ですが、女性または子は、父親が自ら認知をしない場合、裁判所に訴えて、強制的に父子関係を確定するよう求めることができます(強制認知)」
【取材協力弁護士】
田中 真由美(たなか・まゆみ)弁護士
あおば法律事務所共同代表弁護士。熊本県弁護士会所属。「親しみやすい町医者のような弁護士でありたい」がモットー。熊本県弁護士会子どもの人権委員会、両性の平等に関する委員会所属。得意分野は離婚、家事全般、債務、刑事事件、少年事件。
事務所名:あおば法律事務所
事務所URL:http://www.aoba-kumamoto.jp/