本来、労働環境をよくするためにあるはずだが、"雑な働き方改革"でかえってひどい状況になってしまうケースもある。キャリコネニュース読者からは寄せられた、社会人の心の叫びを紹介する。
建設業で働く30代男性は、休みの日もパソコンを持ち帰り、自宅で無給労働をするはめになっている。元凶は、残業規制だ。
「工事を2案件担当することになりました。工期は1か月ずれているだけ。残業すれば問題なく終わらせることができるのに、業務課長からは『100時間を超えたから、今月は45時間以内に抑えなさい』と課長宛にメールが送られたんです。課長は何か手を打つこともなく、自分に負担がきています」
働き方改革は、今年4月から大企業で適用が開始された。残業時間を「年720時間以内」「単月100時間未満」「複数月平均80時間以内」と定め、違反すると半年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられることになった。
「労働時間に制約をかけるなら、本当にその時間内でできる内容なのか精査して」
残業が多い職場の場合、残業規制は労働時間の短縮を意図することとなる。しかし、どんな仕事にどれだけの時間をかけているかまで踏み込まないケースが目立つ。管理・事務職の30代男性は、
「『サービス残業は禁止』『残業はできるだけせず帰社すること』という『労働時間』に対する制約ばかり現場に押し付けてうんざりです」
と不満を綴っている。上からは「長く働くな」と言われるのに新しい仕事の指示はやってくる。仕事に充てられる時間に対して仕事量が多ければ、とても終わらない。男性は、
「労働時間に制約をかけるなら、本当にその時間内でできる仕事内容なのかをきちんと精査しないと品質に影響は出てしまいます」
と愚痴をこぼす。表面的な働き方改革は、現場を混乱させるだけだ。
製造業で管理職を務める50代男性は、「部下ができない分のしわ寄せは自分にくる」という現状に頭を抱えている。仕事量がキャパを超えて対応できない場合は責任を負わされ、「できない管理職」のレッテルを貼られてしまうという。
「休みが取れないサービス業が休みを取れる仕組みにして」
飲食業の40代男性は、「働き方改革なんて何も関係ない」と憤る。有給はおろか、休みは週1日取れればいい状況も、持ち帰り業務も変わらない。現場は常に人手が足りないため、休みたくても休めない。この状況を、男性は、
「働き方改革は大企業なんかよりも、実際には休みが取れないサービス業がいかに休みが取れる仕組みにする必要があると思いますよ。そもそも、カレンダーから祝日なんか無くしてしまって、有給で個人個人で好きなときに休んで休みが分散されるようにしてくれたら一番いい」
と訴える。ほかにも、
「基本給が低い。業務改善し残業時間を減らしても残業代が減り手取りが減るだけで何一つ評価もされず月収も年収も抑えられたまま」(40代男性、管理・事務職)
といった弊害が寄せられた。
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