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MotoGPイギリスGP:スズキ、2019年シーズン2度目の勝利。リンスが接戦の末に0.013秒差でマルケスを下す

2019年08月25日 23:01  AUTOSPORT web

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アレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)
MotoGP第12戦イギリスGP MotoGPクラスの決勝がシルバーストン・サーキットで行われ、アレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)がマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)との接戦を制して優勝した。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)はレース中盤に転倒を喫したがレースに復帰し、17位で完走した。

 決勝レースは気温31度、路面温度44度のドライコンディションでスタート。ポールポジションにはマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)、2番手にアメリカズGP以来の1列目に並んだバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、3番手にはジャック・ミラー(プラマック・レーシング)がそろった。

 3回のフリー走行でトップにつけながら4番グリッドとなったクアルタラロ。予選Q2では、1回目のアタック中、マシンのダッシュボードに警告灯が灯ったことでセカンドバイクに乗り替えを強いらえたということだ。クアルタラロは「フロントタイヤを交換する時間がなかった」とフロントロウを逃した理由を述べている。

 迎えた決勝レース。好スタートを切ったのはマルケス、そこにロッシ、リンスが続く。しかし1コーナーでアクシデントが発生。4番手スタートのクアルタラロとアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)が接触し、激しくクラッシュしたのだ。

 クアルタラロが1コーナー進入でマシンの挙動を乱し、転倒したところにアウト側からやってきたドヴィツィオーゾのマシンがクアルタラロのマシンに衝突し、乗り上げる。ドヴィツィオーゾのマシンは炎を上げ、ドヴィツィオーゾは路面に叩きつけられた。クアルタラロは立ち上がった一方で、ドヴィツィオーゾは担架で運ばれた。しかしその後、コースサイドでメディカルスタッフに応えるドヴィツィオーゾの様子が確認されている。オープニングラップで今週末好調だったクアルタラロと、チャンピオンシップのランキング2番手のドヴィツィオーゾが戦線を離脱する展開となった。

 レースは2周目、リンスがロッシを交わして2番手に浮上する。トップは依然としてマルケスで、3周目には2分00秒105のファステストラップのレコード更新タイムを叩き出した。しかしリンスもマルケスの背後をぴったりとマーク。テール・トゥ・ノーズでマルケスを追う。

 3番手のロッシは3周目になるとマルケス、リンスに1秒以上の差をつけられ、じわじわとその差は広がっていった。ロッシの約0.5秒後方にはマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、そのさらに約1秒後方にはフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)のヤマハ勢が続く。

 6周目、リンスは2分00秒047でマルケスが3周目にマークしたレコードを更新。トップ争いを演じるふたりはほぼ同じギャップのまま、周回を重ねていく。その後方ではじりじりとロッシとの差を詰めていたビニャーレスが、ロッシをパス。ビニャーレスが3番手に浮上した。

 一方、スタートから8番手付近で走行を続けていた中上が7周目、16コーナーでクラッシュ。中上はすぐにマシンを起こしてレースに復帰したが、最後尾にまでポジションを落としてしまう。

 リンスがトップのマルケスをとらえたのは9周目だった。メインストレートから1コーナーでマルケスに接近すると、その立ち上がりでマルケスをオーバーテイク。しかしマルケスはすぐさまリンスを交わし、トップを奪い返す。

 10周目、ヨハン・ザルコ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)とミゲール・オリベイラ(KTMテック3・レーシング)が接触し、ふたりともに転倒。オリベイラを交わそうとコーナーでインにマシンをねじ込んだザルコだったが、強引すぎたかマシンがオリベイラの体にヒットする形となってしまった。

 トップ争いはいまだ僅差のバトルが続く。10周目にマルケスが1分59秒936のレコード更新タイムを叩き出せば、リンスも1分59秒941をマーク。ふたりの差は0.3秒から0.2秒以内で推移し、開く様子はない。20周のレースは、トップ争いが均衡を保ったまま折り返しに入った。

 リンスの後方で、3番手を走行中だったビニャーレスも少しずつタイムを詰めていた。その差は2秒から1.5秒ほどに迫るまでになる。しかし、いまだマルケス、リンスとともにワンパックを形成するには至らない。残り周回数は5周だ。

 残り2周、リンスがマルケスをオーバーテイク。しかしその先のストレートでマルケスがリンスをパス。最終コーナーの立ち上がりでリンスがマルケスに並びかけるも、1コーナーではマルケスが先頭をキープする。

 激しいトップ争いは最終コーナーにまで持ち越された。リンスはマルケスをテール・トゥ・ノーズで追う。リンスはマルケスの背後をぴたりとマークし続け、そして迎えた最終コーナー。進入時点でもマルケスが先頭だ。前周の再現フィルムのように立ち上がりからの加速でマルケスを交わそうとリンスがマシンを振る。しかし、ここで前周と違ったのはライン取りだった。

 その前のラップではアウト側に位置をとったリンスは、ラストラップの最後の勝負で、アウト側のポジションから立ち上がりでインに素早くマシンを振った。先にメインストレートに向かったマルケスに、加速したリンスが並ぶ。そしてさらに、ぐっと加速したリンスのスズキGSX-RRがわずかに前に出る──。その瞬間、リンス、マルケスの順でコントロールラインを通過した。

 その差はわずかに0.013秒。リンスは序盤からマルケスを追い、最終ラップではオーバーテイクでもって優勝を手にした。リンスにとっても、チーム・スズキ・エクスターにとっても、2019年シーズン2度目の歓喜だ。

 マルケスは2戦連続での2位。10周目にはファステストラップのレコードを更新し、最後までリンスとトップ争いを演じた。3位には最終的にトップとの差0.6秒にまで追い上げたビニャーレスが入った。

 4位にはロッシ、5位にはモルビデリとヤマハ勢が上位に躍進。フロントロウの3番グリッドスタートだったミラーはオープニングラップでポジションを落とし、8位フィニッシュで、ドゥカティ最上位はダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ・チーム)の7位だった。レース中盤に転倒を喫した中上は、再スタートを切ってレースに復帰。17位で完走した。

 なお、オープニングラップでクアルタラロのマシンと接触し、激しいクラッシュを喫したドヴィツィオーゾは、メディカルセンターで検査を受けていると、MotoGPの公式SNSが報じた。さらにドゥカティの公式SNSによると、骨折はなかったものの頭部を激しく打ったため、その後、詳しい検査のためにコヴェントリー病院に搬送されたということだ。