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インディカー:2019年2勝目を挙げた佐藤琢磨「今日の勝利はインディ500で味わったものとも違う」

2019年08月25日 15:01  AUTOSPORT web

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2019年インディ第15戦ゲートウェイを制した佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)
8月24日に決勝レースが行われた2019年のNTTインディカー・シリーズ第15戦ゲートウェイ。一時は大きく順位を落としながらも、ピット戦略や運も味方に逆転し、2019年シーズン2勝目を飾った佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が優勝会見に登場、勝利の喜びを語った。

 8月18日に決勝レースが行われた第14戦ポコノでアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)と絡む大クラッシュを演じ、多くの批判や声援を受けた琢磨。そんな難しい状況のなか、第15戦ゲートウェイを迎えた。

 23日に行われた公式予選、琢磨はワールドワイド・テクノロジー・レースウェイで自己最高位となる5番手を獲得する。しかし、決勝では序盤の集団争いに揉まれて、後方までポジションを落としてしまう。

 これを受けてチームはライバルと異なるピット戦略を採り、一時は周回遅れになる場面もあったが、レース中に複数回出されたイエローコーションにも味方されて順位を挽回。セバスチャン・ブルデー(デイル・コイン・レーシング)の単独クラッシュにより最後のイエローコーションが出されたときにはラップリーダーまで上り詰めていた。

 最後のリスタートで、参戦ドライバー最年長44歳のトニー・カナーン(A.J.フォイト・レーシング)を抑えきった琢磨は、カナーンやエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)による猛攻を受けたものの、わずか0.0399秒差でポジションを守りきり、第3戦バーバー以来の優勝を手にしてみせた。

 これで琢磨は2019年シーズン2勝目、キャリア通算5勝目を挙げたことになる。

 レース後に行われたプレスカンファレンスに登壇した琢磨は「先週起きたこと(アレキサンダー・ロッシと絡んだ大クラッシュ)について、いろいろな意見や声がありますが、僕はそのすべてを受け入れます」と、第14戦ポコノで起きたアクシデントに言及した。

「ただ多くのメディアが、あの件を多角的に報じ、客観的事実を示してくれたことに感謝しています。そして力強くサポートしてくれたファンには、どう感謝を伝えていいか分からないくらいです。特にドライバーズパレードでは、ここ数年は見なかったような熱烈な声援を受けました」

「そういった難しい状況のなか、この第15戦を迎え、チームとともに(5番手という)力強い形で予選を終えられたことを誇らしく思いました」

「レースのスタートは難しいものになりました。(集団に飲まれ)サンドイッチ状態になり、大きくポジションを落としてしまった。第1スティントは本当に難しかったです」

「ただ、そこで諦めず、自分たちを信じて仕事に集中しました。チャンスが巡ってくるのを待ち、そのタイミングを逃しませんでしたよ。第2~3スティントはペースも改善し、燃料もセーブすることができました」

「もちろん、僕たちに有利な形でイエロー(コーション)が出るかは運次第でした。ただ、その運をチームが引き寄せてくれた。そんな彼らのために勝利を持ち帰ることができて、本当にうれしいです」

■佐藤琢磨、2019年残り2戦に期待寄せる。「もう少しランキングでの順位を上げたい」

 元チームメイト、カナーンとのバトルについては「カーナンバー14、そしてTK(トニー・カナーン)のことを尊敬していますし、みなさんもご存知のように、彼は本当にタフなファイターですから、一瞬のスキも与えず、小さなミスもしないよう、細心の注意を払いましたよ」と琢磨。

「最後のリスタートは、少しペースが遅いように見えたかもしれませんが、集団を率いる立場としてのアドバンテージを最大限に活かしました。終盤20周、僕とトニー(カナーン)は同じような問題を抱えていたようですね。その一方(3番手だった)エド(カーペンター)は素晴らしいペースでした」

「今日は最高のバトルができたと思います。とくに最後の5周は本当にタフでした。チームやスポンサーも辛い状況にいたと思うので、彼らに勝利を届けられて本当にうれしいんです」

「第3戦バーバーはポールポジションからスタートして、レースを制圧する形で勝利しました。それも格別でしたけど、今日の勝利はインディ500で味わったものとも違う、特別なものですね」

 2019年シーズンのインディカーも残り2戦。第15戦を終えてランキング6位につける琢磨は「このあとの2戦が楽しみですし、チャンピオンシップも面白くなってきました。もう少しランキングでの順位を上げたいと思っています」と意気込みを語った。

 次戦の第16戦は9月1日、ポートランド・インターナショナル・レースウェイで決勝が行われる。