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鈴鹿10時間:可夢偉&グッドスマイルがメルセデス勢最上位の6番手「トライがいい方向に」

2019年08月24日 20:41  AUTOSPORT web

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6番手グリッドを獲得したメルセデスAMG・チーム・グッドスマイルの00号車メルセデスAMG GT3
2019第48回サマーエンデュランス『BHオークション SMBC 鈴鹿10時間耐久レース』は8月24日、鈴鹿サーキットでポールシッターを決めるポールシュートアウトが行われた。昨年5位に食い込んだメルセデスAMG・チーム・グッドスマイルは、小林可夢偉が2分01秒024というタイムをマークし、6番手という好位置につけた。

「やっぱり可夢偉はすごいね」

 鈴鹿10時間の予選後、メルセデスAMG・チーム・グッドスマイルの安藝貴範代表は笑顔で語った。昨年5位フィニッシュを果たしたレースで、日本人ドライバーのトリオでは最上位となる予選6番手を獲得したのだ。前に並ぶのは、いずれもメーカーの息がかかったワークスチーム。もちろんチームは今回、メルセデスAMGのチーム名を冠してはいるが、この結果は安藝代表の言うとおり「さすが」のひと言に尽きるだろう。

 7月に行われたインターコンチネンタルGTチャレンジ第2戦のトタル・スパ24時間では、グッドスマイル・レーシングは谷口信輝と片岡龍也のコンビにアダム・クリストドウロウを加え、可夢偉はチームに帯同する立場を取っていた。「チームのために何ができるか」と言葉の部分での助けや、ドライバーサポートなどをしながら、可夢偉は鈴鹿10時間に向けて「外から得られるもの」を得続けていた。

 そして迎えた鈴鹿10時間。ただ、8月23日の3回のプラクティスはいずれもウエットコンディションとなってしまった。そのため、可夢偉はメルセデスAMG GT3をドライコンディションで走らせるのは、「昨年の鈴鹿10時間以来なんです」という状況。しかも、8月24日のプラクティスは1時間しかない。チームは3人のドライバーそれぞれにドライブさせねばならず、可夢偉が乗車した時間も少なかった。

 メルセデスAMG・チーム・グッドスマイルの河野高男エンジニアによれば、プラクティスの段階ではバランスがあまりいい状況ではなかったという。しかもセット変更をトライしようとするたびに赤旗中断があり、思うようにセットをトライすることもできない。この走行時間の短さが、SRO規定のレースの難しさでもある。それでも、「少しずつ方向性が見えてきた」と改良を加えて午後の予選に臨むことになった。

 午後の予選では、ユーズドタイヤでまず感触を見つつ、アタックを展開していく。ただ谷口が担当したドライバー1予選では、アタック周に赤旗中断が発生してしまった。そのため再度アタックを強いられることになったが、しっかりと2分03秒429をマークした。

 続く片岡もきっちりと2分02秒715をマークしドライバー3の可夢偉に繋ぐが、そこで河野エンジニアは、可夢偉の好みに合わせた方向にセットを振ったが、これがいい方向に向かわなかった。14番手とは言え、2分02秒873というタイムはあまり可夢偉自身もチームもあまり満足できるものではなかった。

 とは言え、これでメルセデスAMG・チーム・グッドスマイルの00号車は18番手でポールシュートアウト進出を果たす。ドライバーは、事前に申告してあった可夢偉だ。河野エンジニアは「たまにはギャンブルしますよ」とチーム全員に告げ、攻めのセッティングを施した。

 このセット変更は可夢偉の好みにピタリとハマる。「河野さんといろいろクルマのことを話して、自分がいきやすいクルマを追求しました」と可夢偉。

「逆方向にいくかもしれませんでしたが、ダメでも20番手ですからね。それならやってしまおうとトライしましたが、それが結果的にはいい方向にいったと思っています」と可夢偉はポールシュートアウトでは2分01秒024をマーク。これで一気に6番手へとジャンプアップした。

「あまり走れていないなかで、ここまで詰めることができたのが良かったですね。自分の中ではまとめられましたけど、まだ行き切れていない部分もある。経験不足というところを考えれば、よくできた予選だったとは思います」と可夢偉は振り返った。

 とはいえ、重要なのはやはり明日の決勝だ。「勝つためにここに来ているので、勝つためにどうすればいいのかを考えて、明日に向けてはしっかり準備したいなと思っています」と可夢偉は語る。

「レースはできる限りやっていきたいと思いますが、他のドライバーたちはずっとこのレースをやってきているドライバーたちなので、甘くはないと思っています。ひとつひとつ、自分たちができるノウハウを使って、確実にいきたいと思っています」

 決勝でも期待がかかるメルセデスAMG・チーム・グッドスマイル。ちなみにこの6番手というグリッドは、日本人ドライバーのトリオでは最上位であるとともに、メルセデスAMG GT3の中でも最上位だ。可夢偉と安藝代表は、スパ24時間では同じピットで、マーロ・エンゲルのポールポジション獲得を見守っていたが、今回エンゲルが駆る999号車メルセデスAMG・チーム・グループMレーシングは9番手。彼らよりも上のグリッドを得た。

「少し悔しさが晴れましたね」と安藝代表は語った。