2019年シーズン前半戦を終え圧倒的に優位な状態でタイトル争いを進めているメルセデス。しかし、フェラーリはあと一歩のところで2度の優勝を逃し、レッドブル・ホンダに関しても2勝を挙げており、後半戦も目が離せない戦いになるだろう。今回はトップ3チームにトロロッソを加えた全4チームの前半戦を採点。第2回目はレッドブル・ホンダだ。
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レッドブル・ホンダ:85点
マックス・フェルスタッペン:88点/総合2位
ピエール・ガスリー:67点/総合13位
2019年シーズン前半12戦で、メカニカルトラブルによるリタイアはわずか1回のみ。しかもそれは、ホンダ製パワーユニット(PU/エンジン)のせいではなかった。その間に1回のポールポジションを獲得し、2勝を挙げたことからも、マクラーレン・ホンダ時代(2015年~2017年)と比較してのホンダPUの飛躍的な進化は明らかと言えるだろう。
シーズン序盤のレッドブル・ホンダは、たとえば予選ではポールシッターにコンスタントに0.5~0.9秒差をつけられ、開幕戦以外はなかなか表彰台にも上がれなかった。しかし第9戦オーストリアGP以降は、予選でフェラーリと肩を並べる速さを発揮し、レースでは確実に彼らをしのぐパフォーマンスを発揮している。
そして第12戦ハンガリーGPではついにメルセデスを予選で打ち負かし、第8戦フランスGP以降の5戦で最もポイントを稼いだドライバーとなった。
2勝を含む6回の表彰台、4回の4、5位入賞。そしてキャリア初のポールポジション。前半全12戦すべてでポイントを獲得しているのは、ルイス・ハミルトン以外はフェルスタッペンだけである。速いけれども安定性に欠けていた去年までのオランダ人の若者は、一体どこに行ってしまったのだろう。
アグレッシブな走りはそのままに、今のフェルスタッペンはバトル技術にさらに磨きをかけ、ハミルトンやフェラーリのシャルル・ルクレール、セバスチャン・ベッテルを蹴散らしている。
車体とパワーユニットが満足のいくレベルに達していない時でも、彼は決して不満だけを言うことなく、忍耐強く開発に協力した。21歳の若者にしては驚異的な成熟ぶりと、レッドブル・ホンダの進化を得て、フェルスタッペンが選手権2位の座を今後確定することはまちがいない。
そんなフェルスタッペンのチームメイトに喜んでなろうというドライバーは、おそらくひとりもいないだろう。レッドブルのチーム体制自体が、完全にマックス中心になっているだけになおさらである。
一方で、ガスリーの今季前半のパフォーマンスには、厳しいものがあった。予選ではフェルスタッペンに、時にコンマ8秒もの大差をつけられ、チームのミスでフェルスタッペンがQ2落ちを喫した第7戦カナダGP以外の11戦で、後方グリッドしか得られていない。
そしてレースでは4位入賞が最高位で、計5回もチームメイトに周回遅れにされている。これでは途中交代も、やむを得ないだろう。