マクラーレンのカルロス・サインツJr.は、F1においてチームを移籍することがドライバーにとってどれだけ大きな変化になるか、ということが過小評価されていると語っている。
サインツJr.は2015年のオーストラリアGPでトロロッソからグランプリデビューを果たすと、2017年の後半までトロロッソの一員として56レースを戦った。その年の日本GP後にルノーへ移籍したが、この時のサインツJr.は2017年末までルノーに貸し出される“レンタル移籍”となった。
2018年もルノーからF1に参戦したサインツJr.は、2019年よりマクラーレンへ移籍。シーズン前半の12戦を終え、サインツJr.はようやくマシンの性能を引き出すことができていると感じている。
記者団にF1で所属した3チーム間の違いについて尋ねられたサインツJr.は、「マシンの挙動は他人が考えるよりも、はるかに大きく違うものだ」と答えた。
「秘密を見つけるには、少し時間が必要だ。ひとつのチームに1年以上在籍した時に、どれだけのパフォーマンスをパッケージから引き出せるようになるかということが、過小評価されている」
サインツJr.によると、チームを移籍したドライバーが苦戦しているように見えるのはそれが理由だという。レッドブルを離れてルノーへ移籍したダニエル・リカルドや、短期間でトロロッソからレッドブルへ昇格したピエール・ガスリー(第13戦ベルギーGPより、再びトロロッソへ加入)がその例のようだ。
「どのドライバーも、チームやマシンに順応するためには数戦が必要だ」
「これは今年のリカルドやピエールのように、チームを変わったすべてのドライバーに見られることだ」
またサインツJr.は、シャルル・ルクレールでさえ、ザウバーからフェラーリに移籍した時には、適応するための時間が必要だったと説明した。
「(チームごとに)まったく違うんだ。みなさんがが想像するよりはるかに違いがあるよ」
「そのことが、すべてのドライバーがチームやマシンに適応するために数戦を要する理由だと思う」
■「トロロッソでは、マシンを理解して結果を出すことができた」
サインツJr.は、最初の3シーズンをひとつのチームで安定して過ごしたことが、当時のトロロッソで実力を発揮できた大きな要因であり、ひとつのチームに長期間所属している他のドライバーにもこのことが当てはまると考えている。
「ペレスや、今はレッドブルにいるフェルスタッペン、メルセデスのハミルトンを見てみるといい」とサインツJr.は指摘した。
「(同じ)チームである程度の時間を過ごして、マシンから限界まで性能を引き出す方法を知ったことによって、結果が出る」
「トロロッソにいたことで良かったのは、2016年や2017年には自分のパッケージを把握し、性能の引き出し方を分かっていて、結果を出せたことだ」
2019年シーズンは技術トラブルにより序盤の数戦で期待外れのリタイアを喫したサインツJr.だが、マクラーレンでの生活にはすぐに順応しており、さらに大きな成果が時間とともについてくるだろうと語っている。
「マクラーレンに慣れるのには、ルノーの時よりも時間はかからなかった」
「重要だったのは、最初の数戦で過剰反応しないことだ。ただやっていることを続けるんだ」
「そうして運が好転して、結果がついてくるようになった」
「第4戦アゼルバイジャンGP以降、とても強力なシーズンになっている。バクーで結果を出すことができてから、すべてのことがうまくいき始めた」
ドライバーズランキングにおいて、サインツJr.は現在58ポイントを獲得しており、ランキング7位につけている。この7位というのは、トップ3チーム(メルセデス、フェラーリ、レッドブル・ホンダ)以外のドライバーのなかで最高位につけている状況だ。
「マシンにはまだまだ改善の余地があると今も感じている」
「金曜日(のフリー走行)は今も多くのことを試している。どういう方向性が良いかといったことなどすべてを見るためだ。でもそのプロセスはゆっくりしている」
「それに、これは数年かけて行うものだ。同じチームや環境などに長い年数いればいるだけ、常に多くを学ぶことができるんだ」