新幹線の乗車率は、お盆や年末などの繁忙期は150%にのぼる。座れる可能性はかなり低くなるのが常識だ。8月18日のヤフー知恵袋には、「『譲ってください』は非常識?」との質問があった。質問者は先日、混雑した時期の新幹線にどうしても乗る必要ができた人だ。指定席は取れず自由席は長蛇の列だったが、暑さと過労のため立っていられないくらい具合が悪くなってしまったそうだ。
「電車の席=高齢者や具合が悪い人は譲ってもらえる」
という考えがあった質問者は、列の中ほどの男性に、「具合が悪くて辛いのですが、列に入れて頂けないでしょうか」と頼んだ。だが、「俺に言われても…、ちゃんと並んで」と冷たく断られてしまった。(文:okei)
「列に入れてくれなかった男性をすごく冷たいと思い、しばらく怒っていました」
仕方なく最後尾に並ぶと運よく最後の1席に座れたが、周囲には赤ちゃん連れの母親や高齢者も立っていた。具合が悪くなければ譲ってあげたかったが、「もう立ち上がれないほど疲れていたため、じっと顔を伏せていた」という。そんな状況に苛立ち、
「列に入れてくれなかった男性をすごく冷たいと思い、しばらく怒っていました」
と明かす。しかし後で考えてみれば、その人がOKでも、列の後ろにいる人たちに許可を取ったわけではないので、やはり「自分の言動は非常識だったのか?」という思いが浮かんだようだ。
逆の立場で頼まれたらどうするか、順番を人に譲るなら自分は最後尾に行くべきか?などを問いかけたうえで、「いくら具合が悪くても、指定席を取ってないのは自己責任で、特急や新幹線で『譲って下さい』というのは非常識でしょうか?」と質問していた。
在来線と違い、安くはない金額を払って遠距離を移動する新幹線。簡単にどうぞと譲れる人は、そうはいないだろう。質問者は、座っている人に座席を譲って欲しいと頼んだのではなく「割り込み」をお願いしたので余計に話がややこしくなっている。
「断られたのを逆恨みするのはお門違い」「乗らずに救急病院に行くべきだった」
この質問は注目を集め、「あなたが『非常識』です」「指定席を確保していないのは、あなたの自己責任です」といった批判的な回答が相次いだ。総回答数は200件以上に及んでいる。
「厚かましいと思う。指定席を取れないなら乗車しなければよい。近郊路線では無いのだから」
「非常識だし、人間として最低。そもそも、そんな状態で公共交通機関を利用しようということ自体が問題」
「具合が悪いなら新幹線に乗らないで救急病院に行くべきでした」
など、厳しいお叱りがビシビシ並んでいる。「人間として最低」は言い過ぎのような気がするが、そんなに体調が悪いなら「乗らない」選択肢もあるはず。「走行中に車内で悪化すれば、更なる大迷惑に発展しかねない」との冷静な指摘はもっともだ。
「おれは入れてあげるよ」と人情を説く人もまれにいた。「非常識ではないとは思います」という優しめの回答でも、「ただ、相手にも断る権利はあります。それを逆恨みするのはお門違いです」と諭す声が大半だった。
相談者は「電車の席=弱者には譲るべき」という自分の「常識」があったが、暑さと疲れで我慢して移動する人が多い時期、「新幹線で譲る」となると話は別だ。残念ながら今回は、相談者の常識は世間の非常識だったようだ。