いまや多くの人がミック・シューマッハーのF1デビューを待ち望んでいる。だが、どうやらそれが実現するのは、2021年以降になりそうだ。7度のワールドチャンピオン、ミハエルの息子ミックはハンガロリンクでF2初優勝を飾った後、2020年にF1に乗れる見通しについてはコメントを拒み、「その時期が来れば明らかになる」とだけ述べた。
しかし、彼が来季からF1でレースをする可能性は、きわめて低い。スーパーライセンスポイントのシステムが障壁となるからだ。
このシステムによると、グランプリに出走したいドライバーは、過去3シーズンの間にジュニアフォーミュラの選手権で、少なくとも40点のスーパーライセンスポイントを獲得していなければならない。
シューマッハーは、2016年にドイツとイタリアのF4で合計14点を得た後、2018年にFIA-F3選手権タイトルを勝ち取って30点を追加しており、現時点でスーパーライセンス取得に必要なポイントを持っている。
しかし、有効なのは過去3シーズン分となるため、2019年末には2016年の14点が消滅して、2018年の30点に今季のF2選手権での獲得ポイントを加えた点数になってしまうのだ。今年も残り8レースとなった段階で、シューマッハーは選手権ランキング11位。この順位では1ポイントも取れない。
2020年にスーパーライセンスを取得するのに必要な10点を加えるには、今シーズンを6位以上で終えねばならない。
それにはハンガリー戦終了時点で6位の周冠宇との62点差を逆転し、かつ今後の獲得ポイントで松下信治、アンソニー・ユベール、ルイ・デレトラ、ジョーダン・キングといったドライバーたちを上回らなければならないのだ。このシナリオは不可能ではないが、かなりハードルが高い。
そうなると、シューマッハーが来季からF1へ行くために残された選択肢はふたつだ。実際のところ、どちらも決して簡単ではないが、第一の選択肢は2019年のうちにスーパーライセンスの発給を受け、シーズン中に少なくともグランプリ1戦に出走すること。
たとえば、事実上フェラーリのサテライトチームであるアルファロメオのアントニオ・ジョビナッツィ、あるいは内輪揉めが絶えないハースのドライバーのどちらかと、1レースだけ交代するといった手が考えられる。これが実現すれば、2020年から2022年までライセンスの有資格者になる。
第二の方法は、金曜のプラクティスを走ったドライバーに、スーパーライセンスポイント1点を与えるという2020年からの新ルールを利用して、ポイントの不足を埋めることだ。
プラクティス限定ライセンスは25点以上で発給され、フリープラクティスに参加しながらポイントを積み重ねていけば、必要な40点に達した時点でF1のレースに出られるようになる。
しかし、もっとも可能性が高いシナリオは、やはりF2でもう1シーズンを戦って選手権をトップ6で終えることを目指し、2021年に文句なしのF1デビューを果たすことだろう。