トップへ

“平手友梨奈不在”の窮地を救う? 欅坂46 二期生 藤吉夏鈴、独特の佇まいから生まれる魅力

2019年08月21日 12:41  リアルサウンド

リアルサウンド

欅坂46『黒い羊』(通常盤)

 欅坂46の『夏の全国アリーナツアー2019』が8月16日のゼビオアリーナ仙台公演をもって開幕した。今回のツアーは、宮城・神奈川・大阪・福岡・東京の全国5都市の会場を回るツアーで、グループにとっては2017年より続けている夏の恒例行事でもある。毎年独自の世界観を公演に組み込み斬新な演出や迫力あるパフォーマンスで観客を魅了してきた欅坂46。今年のツアーにも期待が膨らむところだ。


(関連:欅坂46のパフォーマンスは、”映像の破壊力”と”団体演技”が肝? 東京ドーム公演開催を機に考える


 しかし、ツアーが始まる直前の15日にメンバーの平手友梨奈が出演の見合わせを発表したことでグループの動向が不安視されている。多くの楽曲のセンターポジションを務める彼女の離脱によって、ポジションの変更があるのか、そのままやり通すのか、ファンの間では期待と不安が入り混じっているところだろう。ただし、こうした状況はグループにとって初めての経験ではなく、欅坂46は今までも”平手不在”の窮地を幾度となくくぐり抜けてきた。


 そこで、注目すべきは二期生である。昨年に加入したばかりの二期生は、今年の4月から5月にかけて『おもてなし会』と『欅坂46 3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』、そして7月には『欅共和国2019』とハイペースでライブ活動に取り組んできたが、今回のような事態にはまだまだ不慣れだろう。そんな中、二期生の中でひと際大きな存在感を放つ藤吉夏鈴に注目してみたい。藤吉は2001年生まれの大阪府出身。身長は公式ページ上では平手と同じ163cmとされている。


 彼女の魅力は、その独特の佇まいにある。冠番組『欅って、書けない?』(テレビ東京)では、不思議な受け答えを返してMCを困惑させることもしばしば。「ほっぺが伸びやすい」という特技を披露する可愛らしい一面もありつつ、時おり真顔になった際に見せるパンキッシュな表情も欅坂46のクールなイメージによく似合っている。二期生がはしゃいでる中に加わらないのか問われたところ、「(山﨑)天とか松田(里奈)ちゃんとか(森田)ひかるとかが騒いで楽しそうにしているのを見ています」と答えるような、どこか達観した大人びた雰囲気も持っている(参照:https://tokyopopline.com/archives/112515)。このように、彼女は”可愛さ”と”クールさ”、そしてどこか悟ったような雰囲気を併せ持った存在なのだ。


 そうした印象もあってか、ファンの間では平手友梨奈の後継者との呼び声も多いようである。加入してすぐ開催されたイベント『お見立て会』では「サイレントマジョリティー」でセンターを担当し、鋭い眼光やキレのある動きを見せファンの期待に応えている。また、先日の『おもてなし会』でも大人な世界観を持った楽曲「Nobody」でセンターを務め、締めの楽曲「W-KEYAKIZAKAの詩」でもセンターを担当し、事実上の二期生センターとして着々と成長してきている(ちなみにその日にはユニット曲「夕陽1/3」で平手パートも務めている)。


 欅坂46は、これまで”平手不在”の際に代理センターという形でピンチを乗り越えてきた。ただ、そのときに披露される楽曲の受け取られ方は、オリジナルの平手センターのものとは変わり、抜擢されたメンバーの色に染め上がることが多い。もちろんそれは良いことで、センターを担当したメンバー独自の楽曲解釈や個性がしっかりと表現されていることに他ならない。メンバーの数だけ曲の捉え方があって、楽曲イメージがその都度変化するのは、グループならではの醍醐味でもある。だが、藤吉がステージで踊るとき、そこに平手の存在を重ね合わせて見る空気が生まれる。それがむしろ数多くいるメンバーの中で彼女しか持たない特徴にすらなりつつある。


 デビューから4年目を迎えた欅坂46。再び訪れた”平手不在”のこの窮地を、藤吉が救うかもしれない。今回のツアーにおいて、一期生に混じりパフォーマンスする彼女の存在感に期待だ。(荻原 梓)