レッドブル・レーシングがベルギーGPからドライバーを変更することを発表、メルセデスのチーム代表がルイス・ハミルトンの来季チームメイトをサマーブレイク中に決断するとコメントするなど、2020年に向けてF1ドライバーマーケットに関する話題が盛り上がりを見せている。
イギリス出身のF1ジャーナリスト、クリス・メッドランドが、チームごとにストーブリーグの最新情報をまとめた。中団7チームについての前編に続き、今回の後編ではトップ3チームの状況を伝える。
──────────────────────────────
■メルセデス:“完璧”なボッタスを外すのはリスクが高い
ルイス・ハミルトンは2020年シーズンの契約を結んでいる。F1に見切りをつけて引退するのでもない限り、来年メルセデスでレースをすることは間違いなく、勝ち続けている今、引退するとは考えにくい。
注目されるのは、ハミルトンのチームメイトが誰になるかだ。バルテリ・ボッタスは2019年シーズン末で現契約が切れる。シーズン序盤は非常に好調だったものの、この数週間、調子が落ちつつある。チーム代表のトト・ウォルフは、サマーブレイクの間に、ボッタスとリザーブドライバーのエステバン・オコンのどちらを選ぶかを決断すると発言した。
今年何度かラリーカーをドライブして、憶測を呼んでいるボッタスだが、私は来年も彼はメルセデスで走ると予想する。
ボッタスはチームが望むものを提供できるドライバーだ。優勝する力があり、大量のポイントを稼いで、コンストラクターズタイトル獲得を助けている。なおかつ、ドライバーズ選手権においては、ハミルトンを悩ませることもない。メルセデスはこれほど完璧な状況をあえて変える必要があるだろうか?
■フェラーリ:ベッテルの早期引退の可能性はゼロではない
本来ならシンプルな結論になるべきところだが、セバスチャン・ベッテルは今の環境に満足していないという印象がどんどん強くなってきている。チームを愛し、ミハエル・シューマッハーのような成功を収めることを願い、フェラーリで勝ちたいという気持ちは持っている。だが、彼は今のF1に完全に満足しているとはいえず、それを示唆する発言を何度か行っている。
ベッテルは2020年の契約を結んでいるため、普通に考えれば来年もフェラーリで走るはずだ。しかし、もしかするとそうはならないかもしれないという、小さな疑いが芽生えている。レッドブルに戻るというシナリオはほぼない。レースを続けるなら、フェラーリに残るだろう。レースを続ける限りは。
シャルル・ルクレールの方は、確実に来年もフェラーリで走る。現時点でベッテルと互角の力を発揮し、なおかつ成長過程にあるドライバーだ。チームにとってルクレールは、長期的な選択肢として考えるべき存在だろう。
■レッドブル・ホンダ:アルボンがパフォーマンス不足の場合、難しい選択に
このチームのラインアップが来年どうなるのかは非常に興味深い。マックス・フェルスタッペンは早期にレッドブルを離れるための条件をいくつか契約に盛り込んでいるが、最近のリザルトを見る限り、彼が動く可能性はほぼないだろう。フェルスタッペンは前半戦で2勝を挙げ、ドライバーズ選手権3位につけている。レッドブルとホンダの新たなコラボレーションはうまくいっており、これから大きな成功を収めるかもしれない。彼が離脱する理由はないといっていい。
一方、チームメイトについては予測するのが非常に難しい。サマーブレイク中に昇格されたアレクサンダー・アルボンが、後半戦で優れたパフォーマンスを発揮するなら、2020年も残留してフェルスタッペンと組む可能性が高い。彼のシートを奪うためには、ピエール・ガスリーにしろダニール・クビアトにしろ、トロロッソで相当優れた成績を挙げる必要があるだろう。
だがもし、アルボンのパフォーマンスが期待外れだった場合どうなるか。シーズン前半に、レッドブルはニコ・ヒュルケンベルグとコンタクトを取ったと報じられ、両陣営はすぐさまそれを否定した。しかし私は複数の情報源から、実際に接触があったと聞いている。レッドブルは基本的には傘下のドライバーを選び、外部から連れてくることはほぼない。だがレッドブル首脳陣がアルボン、ガスリー、クビアトの誰にも満足できなかった場合、ヒュルケンベルグあるいは他の外部のドライバーを1年だけ乗せて、翌年に向けて次の候補を探す可能性がないとはいえない。
■著者:クリス・メッドランド。イギリス出身のF1ジャーナリスト。ESPN、Crash.net、F1iなどを経て、現在RACERと契約。BBCやSky Sports、formula1.comなどの仕事も行っている