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KLMオランダ航空のCA雇い止めは「無効」、労働審判で無期転換認める

2019年08月20日 17:31  弁護士ドットコム

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無期転換を逃れるための雇い止めにあったとして、「KLMオランダ航空」(KLM)で勤務してきた客室乗務員の女性3人が東京地裁に申し立てた労働審判で、8月19日に雇い止め無効、無期雇用転換を認める審判が出された。


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翌日の20日、申立人の女性らが東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで会見を開き、明らかにした。



申立人の1人であるAさん(40代)は「この仕事を自分のキャリアとして続けていきたいという思いで労働審判にのぞみました。日本とオランダの空に復帰したい」と語った。



●無期雇用転換を労働審判で認めたことは「画期的」

代理人の高橋寛弁護士によると、女性3人は2014年3月にKLMに採用され、契約社員として約5年2カ月勤務した。オランダで2カ月の「客室乗務員訓練」を受けた後、5年勤務し、5月に雇い止めを受けたという。



Aさんは「これまで貢献してきたのに、バッサリ切られるという悲しさ、虚しさ、焦りがありました」と当時を振り返った。女性らは1月、会社に無期転換の申し込みをし、ユニオンによる団体交渉も3回おこなったが、聞き入れてもらえなかったという。





労働契約法18条は、有期労働契約期間が通算して5年をこえる労働者に、期間の定めのない無期雇用への転換を認めている。審判では「客室乗務員訓練」の期間が労働契約の期間として通算されるかどうかが争点となった。



高橋弁護士は「訓練が雇用にあたると判断したこと、無期雇用転換を労働審判で認めたことは画期的」とした。女性らは訓練期間中も訓練手当や日当が支払われていたほか、使用者の指揮・命令下で訓練を受けていたという。



●CA28人による訴訟も進行中

審判では女性3人の申立てが認められたが、会見に参加した女性2人は「会社が異議申し立てをするのではないか、仕事に戻れないのではないかという不安がある」と語った。



高橋弁護士によると、ほかにも、KLMで、無期転換を逃れるための雇い止めにあったとして、客室乗務員28人が東京地裁に提起した訴訟が進行中だという。



KLM(日本支社)は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「現在は結果を踏まえて、検討中の段階です」とコメントした(21日14時)。