新しい風洞施設の建設を決めたマクラーレンは、このプロジェクトがF1でトップに返り咲くためのプロセスにおいて極めて重要な役割を果たすと考えている。
長年ドイツに位置するトヨタの設備を利用してきたマクラーレンだが、自身の本拠に新しい風洞施設を建設することを6月に明らかにした。
数年にわたる低迷を経て、2019年のマクラーレンは競争力を取り戻しつつあり、第12戦終了時点でランキング4位につけている。現在のトップ3、メルセデス、フェラーリ、レッドブルに追いつくため、マクラーレンは最新の風洞施設を自社に設けることが有効であると考えたという。
「これは非常に重要なプロジェクトだ」とテクニカルディレクターのジェイムズ・キーはformula1.comのインタビューにおいて語っている。
「(チームプリンシパルの)アンドレアス(・ザイドル)と私が加入した時点でのビッグプロジェクトのひとつがこれだった。このプランが提示されていたが、合理的な説明と議論が必要な状態であり、その後、そのプロセスを進めていった」
「いくつか選択肢はあったものの、最も論理的な選択肢は、(本拠の)ウォーキングに新しい施設を作るというものだった。株主の(コストに関する)リアクションは、極めて前向きで、積極的で、協力的なものだった」
これまで使用してきたトヨタの風洞はかなり古くなってきているため、ライバルたちと戦うために最新の設備を作る必要があったと、キーは述べている。
「トヨタとは10年にわたって非常に良い関係を築いてきたし、今も素晴らしいサービスを受けている。だが、この風洞は他のF1チームの最新式の設備に比べると古くなってきている。現代F1の風洞の技術は極めて優れている。F1において問題解決のカギともいえる、小さな秘密のひとつなのだ。今の風洞テストのやり方には、大きな技術と興味深いテクニックや技法が含まれているのが分かる」
CFD(数値流体力学)によるシミュレーション技術は向上しているものの、風洞でのテストに完全に代わり得るものではないと、キーは考えている。
「CFDと風洞は補完し合っている。ただ、風洞が実行可能なものを再現するという点では、CFDはまだ完全ではない。いずれ近づいていくだろうがね」
「新しい世代の技術とテクニックが生まれつつあり、それが新しい風洞の建設を進める上で助けになる」
「今後本格的な進歩を遂げていくためには、パフォーマンス向上のために不可欠なものを、本拠に近いところに設ける必要があった」