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眞栄田郷敦、アストロズ入りへ 『ノーサイド・ゲーム』山崎紘菜らラグビー女子にも注目!

2019年08月19日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『ノーサイド・ゲーム』(c)TBS

 8月18日に放送された日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』(TBS系)第6話では、岐路に立った男たちの決断が描かれた。


参考:『ノーサイド・ゲーム』ラグビー経験者・福澤克雄の手腕が光る スポーツの試合のような緊迫感


 サイクロンズとのリーグ最終戦。決まったと思われた終了間際の岬(鶴ケ崎好昭)のトライはビデオ判定で幻となり、優勝は目の前をすり抜けていった。廃部も覚悟していたアストロズだったが、社長である島本(西郷輝彦)の鶴の一声でかろうじて存続が決定。「今年がラストチャンスかもしれない」と覚悟する君嶋(大泉洋)に、かつての上司、脇坂(石川禅)が本社への復帰を持ちかける。カザマ商事買収を追い風に伸張する常務・滝川(上川隆也)の勢力を抑えるためだった。


 優勝して本社に戻るつもりだった君嶋にとって願ってもない誘いであり、目の前に転がり込んできた機会をみすみす逃すわけにはいかない。千載一遇のチャンスを前に君嶋の心は揺れる。プロ契約の選手・監督をのぞけば、選手もスタッフも会社員という社会人ラグビー特有の事情に関しては、君嶋も例外ではない。会社の業績によって予算を減らされ、辞令が下れば転勤や異動、リストラの対象になるサラリーマンにとって、スポーツだけでなく会社でのキャリアも揺るがすわけにはいかない。君嶋が出した答えは“今いる場所で勝つ”という決意だった。


 君嶋は脇坂に「私は勝てなかったんです」と語る。「もしも次にまた会社の命運を左右するような大きな決断を迫られたとしても、今の私ではきっと迷いが出る」、そして「私はアストロズとともに戦い、勝った上で本社に戻ります」と宣言。君嶋の率直な思いを聞いて一言「わかった」と返し、「やるからには勝ちなさいよ」と釘を刺す妻・真希(松たか子)の対応も素晴らしかった。


 君嶋の決断を後押ししたのは、ジュニアチームの控えになっても腐らず練習に打ち込む長男・博人(市川右近)の姿や、引退する本波(天野義久)の言葉だった。表向きは仕事を理由にしているが、ラグビーに対する君嶋の思いは、シーズンを戦い抜く中で君嶋自身にとっても否定できないものに変わっていた。ラグビー協会専務理事の木戸(尾藤イサオ)に対する「私はラグビーの素人で、ラグビー自体好きではない」という言葉と矛盾するようだが、ラグビーによって会社員生命の危機からよみがえった君嶋の中で、ラグビーに対する愛情にも似た感情が芽生えていたのではないだろうか。その思いは「あのメンバーで勝ちたかった」という本波や多英(笹本玲奈)の言葉とも重なる。


 そして、葛藤を乗り越えてアストロズに加わった男がもう1人。「ラガーマンではなく、サラリーマンになる」と言って、一度はラグビーを諦めかけた七尾圭太(眞栄田郷敦)が衝撃のデビューを果たす。プレーとは反対に、ガツガツしない今どきの若者といった風情の七尾だが、職場の先輩である藤島レナ(阿部純子)に連れられて行ったサイクロンズ戦を見て、「ラグビーがしたいです」と柴門(大谷亮平)に申し出たのだった。チームとともに2期目に望む君嶋の決断と新星・七尾の活躍によって、点と点がつながったアストロズ。新シーズンへの期待を抱かせるラストだった。


 今回、七尾の職場の先輩、藤島レナとともにアストロズを応援する同僚(中本理彩と吉田夏帆)を山崎紘菜と南端まいなが演じている。山崎は、2013年度から2016年度まで、全国大学ラグビーフットボール選手権大会のイメージモデルを務めたほか、ジャパンラグビートップリーグのトップリーグアンバサダーにも就任している。また、早稲田大学ラグビー蹴球部に所属していた父親の影響で、幼いころからラグビーに親しんでいたという南端は、豊富なラグビー知識でメディアに登場することもある。ラグビーワールドカップ2019日本大会を前に、日本を代表する「ラグビー女子」2人の出演がアストロズにとって追い風になることを願おう。


■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。