スーパーフォーミュラ第5戦ツインリンクもてぎでスーパーフォーミュラ初優勝を飾った平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。今季のスーパーフォーミュラは5戦目で平川が5人目のウイナーとなったように、まさに混沌のシーズンを迎えている。その混沌ぶりを象徴するように、第5戦の決勝の各チームのストラテジーもさまざまな多様性を見せた。
結果的に優勝の平川と2位の小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)はソフトタイヤスタートでレース終盤にミディアムに代える王道パターンを選択したが、3位を獲得したのは5周目にルーティンのピットストップを終えたニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)。平川が「6周目の最終コーナーでストップ車両が出たときにセーフティカーが入っていれば、ニックが優勝でしたね」とレース後に話すように、平川にとっては運も味方する形でのスーパーフォーミュラ初優勝となった。
そのKONDO RACINGのさらに上を行く形でミディアムタイヤの走行距離を究極の最小限に抑えたのが、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)だ。ソフトタイヤでスタートした関口は27周目にピットインして再びソフトタイヤを装着。この時点で2ピット戦略であることが判明したが、2回目のピットインがなんと、ファイナルラップ。つまり、ピットインしてソフトタイヤからミディアムタイヤに交換してピットロードを走行中にチェッカーを受けるという、斬新な戦略を見せたのだ。
「エンジニアの提案でタイヤ交換の義務がトップのマシンがチェッカーを受けるまでなのか、それとも自分がチェッカーを受けるまでなのかレース前に確認しました」と話すのはITOCHU ENEX TEAM IMPULの高橋紳一郎工場長。関口がチェッカーを受けるまでにタイヤ交換義務をクリアし、ピットロードでチェッカーを受けた。