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平川亮が逆転で初優勝! スタートの波乱、レース戦略入り乱れるなか猛追の可夢偉が2位獲得【スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ決勝】

2019年08月18日 18:11  AUTOSPORT web

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初優勝を飾った平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と星野一義監督、ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S)
8月18日(日)、スーパーフォーミュラ第5戦もてぎの決勝レースが行われ、ITOCHU ENEX TEAM IMPULの平川亮が逆転でスーパーフォーミュラ初優勝を飾った。2位は小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、3位がニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S)と、トヨタ勢が表彰台を独占する結果となった。ポールポジションからスタートしたアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)は4位に終わったものの、ホンダ勢トップとなっている。

 午前中に行われたフリー走行よりもさらに暑いコンディションとなり、気温37度、路面温度は49度というドライコンディションで決勝レースを迎えた。

 半数以上のドライバーがソフトタイヤを選択しているが、石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、野尻智紀(TEAM MUGEN)、山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、ハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)、ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S)、牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)、パトリシオ・オワード(TEAM MUGEN)、アーテム・マルケロフ(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)がミディアムタイヤを装着した。

 14時15分にはフォーメーションラップがスタートしたが、8番グリッドの山本がエンジンストールを起こしてストップしてしまい、まさかのピットレーンスタートに。さらに追加のフォーメーションラップを終えてグリッドにつく際にハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)とパトリシオ・オワード(TEAM MUGEN)も同様にエンジンストールを起こしてしまった。これにより、赤旗が掲示されスタートディレイ。ニューウェイとオワードはグリッド最後列からのスタートとなった。

 決勝レースは本来ならば52周で争われる予定であったが、スタートのやり直しにより周回数は1周少ない51周に。

 スタートでは2番手の平川が好スタートを切ったものの、パロウが先頭で1コーナーへ向かい、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が3番手とトップ3は変わらず。その後ろでは7番手スタートの小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)が文字どおりのロケットスタートを決めて4番手に浮上し、ルーカス・アウアー(B-Max Racing with motopark)が5番手となった。

 後方でも大きく順位が入れ替わり、国本雄資(KONDO RACING)はポジションを9つ上げて6番手に、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が7番手となった。

 オープニングラップを終えると、ミディアムタイヤでスタートしたニューウェイ、オワード、マルケロフらがピットイン。ただオワードはタイヤ交換作業に時間がかかってしまいピットレーン出口でニューウェイと横並びになったが、オワードが前でコースへ戻った。4周目にはキャシディもピットへ向かい、ソフトタイヤに履き替えて給油を行いコースへ復帰した。

 6周目には石浦と野尻がピットインと、ミディアムタイヤでスタートしたドライバーが続々とタイヤ交換を行った。ところが、このタイミングで牧野が最終コーナー手前でハーフスピンを喫し、車体の半分をコース上に残す形でストップしてしまった。最終区間でイエローフラッグが掲示されたものの、セーフティカー(SC)の出動はなく、キャタピラーカーに引っ張られてランオフエリアに運ばれることになった。

 また7周目には中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)がミディアムタイヤに交換、またすでにタイヤ交換を終えているニューウェイが再度ピットインし給油を行った。さらにはソフトタイヤでスタートした坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が9周目にソフトタイヤへ交換。どうやら坪井は2ストップ作戦を選択したようだ。

 スタート直後から快走していたパロウは、2番手の平川に対して1.5秒ほどのギャップを築いていたが、10周目を迎える頃にはその差が1秒を切った。パロウにはリヤタイヤを滑らせるシーンも見られ、ソフトタイヤのグリップは厳しいようだ。その後ろでは可夢偉が3番手の福住に迫り、オーバーテイクシステム(OTS)を駆使して一度は福住を捉えたが、直後のターン3で今度は福住がOTSを使用して3番手を取り戻した。

 17周目には国本がミディアムタイヤに交換。1ストップ作戦かと思われたが、国本は翌周に再びピットへ入り、ソフトタイヤに履き替える2ストップ作戦を選択した。また20周目にピットインしたチームメイトの山下健太(KONDO RACING)も同様の戦略を採った。また25周目の終わりに関口もソフトタイヤからソフトタイヤへ交換し、こちらも2ストップ作戦を選択。

 14周目にはパロウと平川のギャップが1秒を切っていたが、そのパロウは22周目のバックストレートで平川に並ばれ、平川がインを差す形で90度コーナーを曲がってパロウをオーバーテイクし、ここでトップに躍り出た。一方パロウは直後の3コーナー、4コーナーの立ち上がりでトラクションがうまく掛からないような動きを見せ、平川から離されてしまう。この間にパロウは福住と可夢偉の接近も許してしまったが、その後はペースを本来のペースで走行を続けた。

 レースの折り返しを過ぎた29周目、平川とパロウのギャップは5.2秒にまで開いた。また平川と、ピットストップを行ったドライバーのなかでトップを走る6番手のキャシディとの差は49秒ほどにまで開いており、ピットストップ1回分のマージンを稼いだ形だ。

 平川がキャシディと同じ1分36秒台のタイムで順調に走行を重ねるなか、その後ろでは可夢偉が3コーナーで福住のインを差してオーバーテイク。ポジションを落とした福住が可夢偉についていけない一方で、可夢偉は勢いそのままにパロウに迫った。可夢偉は90度コーナーでパロウにオーバーテイクを仕掛けるも、ここではパロウがなんとかポジションを守る。パロウのラップタイムは1分38秒台まで落ちており、36周目には平川とパロウのギャップが12秒にまで開いていた。

 その平川は36周目を終えてピットイン。ミディアムタイヤに履き替え、トップでコースに復帰した。その翌周にはパロウ、福住、アウアーがピットインを行うも、3名の順位は変わらず。だが福住はミディアムタイヤが温まっていなかったのか、アウトラップの5コーナーで止まりきれずにタイヤをロックさせて大きなスモークを挙げてしてしまう。なんとかグラベルにはまらずコースへ戻ったが、福住はキャシディの先行を許してしまった。

 この4名のピットストップによりトップへ浮上した可夢偉は40周目を迎えても1分36秒台のタイムで走行を続けていたが、41周目にようやくピットイン。12秒という短い時間で作業を終え、平川の後ろの2番手でコースに復帰。3番手を争うパロウとキャシディの前でコースに出ることに成功した形だ。

 その3番手争いは44周目、キャシディが90度コーナーでOTSを使用してついにパロウを捉えた。一方可夢偉はミディアムタイヤに履き替えた後も驚異的なペースで飛ばし、1分36秒台のタイムで周回を重ねる。このままいけば、数字上は最終周に可夢偉が平川に追いつく計算だ。

 平川と可夢偉のギャップは6~7秒のままレースは終盤を迎える。残り周回が2周となると、可夢偉がそのギャップを5.4秒にまで縮め、さらに次の周には4.4秒と1秒縮めるが、結局平川には及ばず。2018年にスーパーフォーミュラへ復帰した平川が、逆転でスーパーフォーミュラ初優勝を飾った。

 可夢偉が2位、キャシディが3位と、今回のレースはトヨタ勢が表彰台を独占する結果に。ホンダ勢トップのパロウが4位で、5位が福住、6位が石浦、7位にはミディアムタイヤで背後に迫るソフトタイヤ勢を抑え切ったアウアーが入賞し、8位の野尻までが入賞となっている。

 ランキングトップの山本は入賞まであとひとつの9位と、2戦連続のノーポイントに終わった。この第5戦もてぎの前までは山本が27ポイント、2位のキャシディが22ポイントとなっていたが、キャシディが3位入賞により6ポイントを獲得したため、このレースをもってキャシディがランキングトップに浮上した。