8月22~25日に行われる2019年のWRC世界ラリー選手権第10戦ドイチェランド。トヨタ・ヤリスWRCでシーズンを戦うワークスチームのTOYOTA GAZOO Racing WRTは、オット・タナク、クリス・ミーク、ヤリ-マティ・ラトバラのレギュラー陣で大会連覇に挑む。
ドイツのボスタール湖(ボスタルジー湖畔)を中心に開催されるラリー・ドイチェランドは、3月末に行われた第4戦ツール・ド・コルス以来のフルターマック(舗装路)イベントだ。
ターマックイベントと言っても、道幅の狭い農道を抜けるようなタイトセクションや郊外のスピードが上がりやすいセクション、アスファルトではなくコンクリート舗装された道など、バラエティ豊か。
ドライバーには状況にあわせたドライビングが求められるほか、この時期のドイツは突然の雨も降りやすく、コンディション変化も見据えたマシンセッティング、タイヤ選択が求められる。
またラリー・ドイチェランドを代表するステージと言えるバウムホールダー軍事演習場内を抜ける“パンツァープラッテ”と“アリーナ・パンツァープラッテ”は、コンクリート舗装で滑りやすく、曲がりくねったセクションも多い上、路面コンディションも変化しやすい。
また道路脇には戦車の脱輪を防止するためのコンクリートブロック“ヒンケルシュタイン”が設置されており、これに接触してしまうとマシンに大ダメージを負うことは免れない。そのためドライバーにはより精度の高いドライビングが求められる。
2019年大会は8月22日(木)の現地10時(日本時間17時)にシェイクダウンが行われ、走行がスタート。同日19時8分(日本時間23日2時8分)ごろにスーパースペシャル形式のSS1が行われて開幕を迎える。
競技2日目の23日(金)はブドウ畑を抜ける農道ステージが中心でSS2~7までの6SSが、3日目の24日(土)は軍事演習場内のステージを中心にSS8~15までの8SSが、最終日の25日(日)はふたたびブドウ畑を抜ける農道ステージをメインにSS16~19までの4SSが行われる。全19SSの合計距離は344.04km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1228.23kmだ。
ワークスチームからは今季4勝を挙げているタナクのほか、ミーク、ラトバラのレギュラー陣が参戦する。このうちタナクはMスポーツ・フォードに在籍していた2017年からラリー・ドイチェランド2連勝中。2019年は3連覇がかかる。
またワークスチーム外となるものの、トヨタの若手ラリードライバー育成プログラムで腕を磨いてきた勝田貴元もラリー・ドイチェランドに参戦。ヤリスWRCを操り、WRC最上位クラスに初挑戦する。
「ラリー・フィンランドでの素晴らしいリザルトは、ドライバーおよびコ・ドライバーチャンピオンシップと、マニュファクチャラーチャンピオンシップにとって非常に重要なものになったから、ドイツでも同じような結果を期待している」とチーム代表のトミ・マキネン。
「昨年のこのラリーで我々は強く、オット(タナク)は2年連続優勝を達成したから、チームとしてふたたび最高の結果を残す自信はある」
「このラリーではブドウ畑やバウムホールダーの軍事施設など、ドライバーのミスを誘発する難ステージが非常に多くあるから、クルマに自信を持つことがとても大事だし、ミスをしないように集中力を高めて臨まなくてはならない」
ドライバーズランキングトップにつけるタナクは「言うまでもなく、ドイチェランドはとても好きなラリーだ。マルティン(ヤルヴェオヤ/コドライバー)と私は2年連続で優勝しているから、目標はもちろん3年連続優勝だ」と意気込みを明かしている。
「とはいえ、決して簡単なラリーではない。昨年は戦いが非常に激しく、最初から全力で攻めなければならなかった。自分のキャリアのなかで、もっとも苦労して手に入れた勝利のひとつだったよ」
前戦のラリー・フィンランドで総合3位表彰台を獲得したラトバラは「昨年は最終日にトラブルでリタイアしたが、それまでは総合2位を争っていた。速さには自信があるよ。自分たちがどれだけ戦えるのか楽しみだし、今回も表彰台争いを期待している」とコメント。
前戦では不運なリタイアを余儀なくされたミークも「ここまでのところ、舗装路でヤリスWRCにとても良いフィーリングを感じているから、ドイツでも同じような感覚で走れることを期待している」としている。