2019年08月16日 11:21 弁護士ドットコム
ゴミを各家庭で焼却処分する光景は、昔よくみられたが、今でもやっている家庭が存在する。
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大学生ケンタさんの祖母の家は、民家のまばらな田舎にあり、家庭のゴミを全部ドラム缶に入れて、油をかけて燃やしているという。煙がもくもくとあがっていて、ケンタさんは有害物質の発生を心配しているが、祖母は「昔からやっているから大丈夫だよ」と話している。
このようなゴミの焼却方法に問題はないのか。村田正人弁護士に聞いた。
「山奥にぽつんと1軒家で、ドラム缶で家庭ゴミを燃やしても問題にならないのは、苦情を言う人がいないからです。周囲に人が住んでいる場所で、ドラム缶で家庭ゴミを燃やす行為は、違法として禁止されていると言ってよいでしょう」
どのような法律で禁止されているのか。
「廃棄物処理法第16条の2で、野焼きを禁止しているんです。ドラム缶で家庭ごみを燃やすことも野焼きに該当します。野焼きが禁止されている理由は、廃棄物処理法施行令第3条第1項第2号イに定める『焼却設備』での焼却でないものは、ダイオキシン類や有害物質を大気中に放出するおそれがあるからです。
ただ、野焼き(野外燃焼行為)には例外があります。たき火その他日常生活を営む上で通常行われる軽微な燃焼に該当するものです。ただ、『軽微なもの』かどうかの判断基準は社会通念です。ご近所には、煙の燃焼生成ガスに敏感な方や呼吸器疾患の方もお住まいかもしれませんし、健康な方にとっても、煙の侵襲は迷惑行為となります。
許されるかどうかの基準は、社会通念ですから、周辺の生活環境に支障が生じるようなものは、軽微とはいえません。ですから、ドラム缶で家庭ゴミを燃やす行為は、社会通念に照らし、周辺の生活環境に支障が生じさせるものとして禁止されているといえます」
【取材協力弁護士】
村田 正人(むらた・まさと)弁護士
1948年、三重県津市生まれ。76年に弁護士登録(三重護士会)。2003年三重弁護士会会長。日弁連公害対策環境保全委員会委員。日本環境法律家連盟理事。ゴミ弁連会員。趣味は海外旅行。
事務所名:三重合同法律事務所
事務所URL:http://miegodo.com/