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『ライオン・キング』上々の滑り出しで、この夏の「ディズニー3本の矢」はすべて命中

2019年08月15日 17:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『ライオン・キング』(c)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

 先週末の映画動員ランキングは、『ONE PIECE STAMPEDE』が土日2日間で動員59万8000人、興収8億600万円をあげて初登場1位に。金曜日の初日から8月12日の祝日までの4日間の累計は、動員125万4400人、興収16億4600万円という堂々たる成績。『ONE PIECE』の劇場版が公開されるのは、2016年7月に公開されて最終興収51.8億円を記録した『ONE PIECE FILM GOLD』以来3年ぶりとなるが、初動成績の集計期間や曜日を勘案するとほぼ横ばいの数字。他にも子供を含む観客の年齢層の広い作品がひしめく2019年の夏休み興行の中、どこまで好調が維持できるか?


参考:『ライオン・キング』フル3DCGの世界を拡張する4DXの技術 「命の輪」を体感できる演出に


 初登場の順位は『ONE PIECE STAMPEDE』に続く2位となったが、同日に公開された『ライオン・キング』も好調だ。土日2日間の成績は動員49万7000人、興収7億2800万円。4日間の累計では動員98万4000人、興収14億400万円と、こちらも上々の滑り出し。お盆に入ってからも『ONE PIECE STAMPEDE』とトップ争いのデッドヒートを繰り広げていて、大規模公開の新作がない今週末は1位を十分に狙えるポジションにつけている。


 ディズニー配給作品としては、これで6月公開の『アラジン』(8月12日時点の累計興収116億8000万円)、7月公開の『トイ・ストーリー4』(8月12日時点の累計興収78億5700万円)、8月公開の『ライオン・キング』と、それぞれ実写作品、アニメーション、フルCGIアニメーション(日本のディズニーの呼称では「超実写版」)と異なるフォーマットの3作で連続して大ヒットを飛ばしたことになる。


 先週末、『アラジン』が公開11週目にして初めてトップ10から脱落(11位)したように、こうして毎月大ヒット作が出るということは、同じ配給会社の作品としてのスクリーン数確保の上でも、興行全体における集客の分散においても、先行作品の「数字の伸び」という点では不利に働くことになる。ディズニーのヒット作の日本における興行は息が長くなる傾向が強いので、なおさらだろう。特に今回の『アラジン』は現時点で年間トップの座に立っているだけに、その約1ヶ月半後に公開されてから猛烈な勢いで追いかけている『天気の子』に対して為す術もない状況だ。


 もっとも、9月はちょっと一息(その間に『ライオン・キング』が数字を積み上げるだろう)といったところだが、10月には『マレフィセント2』、11月には『アナと雪の女王2』、12月には『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』と、秋以降のディズニー配給公開作品も超強力なシリーズ作品が目白押し。参考までにそれぞれの前作の日本での興行収入を記しておくと、65.4億円(『マレフィセント』)、254.8億円(『アナと雪の女王』)、75.1億円(『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』)と恐ろしく景気のいい数字が並んでいる。


 もちろん、いずれの作品も前作を超えることができるかは公開されてみないとわからないが、この夏の3本、そして現時点で年間5位の『アベンジャーズ/エンドゲーム 』(累計興収61.2億)と合わせて年間トップ10の半分以上(『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は12月公開なので集計は2020年度)をディズニー配給作品が占めることが濃厚だ。仮に年間1位が獲れなかったしても、ディズニーとしては「嬉しい悲鳴」が止まないことには変わりない。(宇野維正)