夏休み前のドイツGPとハンガリーGPの2連戦に、ファン・パブロ・モントーヤが訪れていた。モントーヤがF1のパドックを訪れるのは、今回が初めてではない。だが、そのほとんどはアメリカ大陸で開催されるグランプリ。アメリカ・マイアミ在住のモントーヤが、今回のようにヨーロッパラウンドに姿を見せるのは、珍しい。
そこでモントーヤにその理由を尋ねると、モントーヤは笑ってこう答えた。
「息子のセバスチャンがいま、ヨーロッパでカートのレースを戦っているから、そのサポートに来ているんだ」
と言うと、モントーヤは隣に立っていたセバスチャンを紹介してくれた。アメリカ在住ということで、英語はペラペラ。
「2017年にヨーロッパでの最初のレースシーズンを過ごしたから、今年で3年目になるね。今年もトニーカートのワークスチームの一員として、ヨーロッパ選手権に挑戦しているんだ」
トニー・カートは、フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)とパートナーシップを結んでおり、セバスチャンはカートのレースに参戦しているだけでなく、FDAのサポートの下、ドライバーとしての教育も受けているせいか、非常に礼儀正しかった。
礼儀正しいといえば、父親のモントーヤにも驚くべき変化が。それは、ホッケンハイムリンクのパドックで、ジャック・ビルヌーブと談笑していたからだ。
モントーヤとビルヌーブの仲は2001年のカナダGPを境に冷え切ってしまった。2001年のカナダGPのフリー走行中にブレーキテストされたビルヌーブがモントーヤを批判した際、それにカッとなったモントーヤが「おまえだって、今シーズンすでにひとり殺しているだろ」(開幕戦オーストラリアGPのレース中にラルフ・シューマッハに追突し、宙を舞ったビルヌーブのマシンがフェンスを直撃。フェンス付近に立っていたマーシャルが死亡した)と発言し、あわや殴り合いになるほどのケンカをし、それ以来、犬猿の仲となっていた。
そんな2人が、パドックで談笑しているではないか。いったい、いつから2人の関係は良好になったのだろうか。
「まあ、あれはちょっとした若気の至りでね。あれから何年も時間が経っているから、お互いもう気にしていなかったけど、なかなか話す機会がなかっただけ。そうしたら、2007年のNASCARで久しぶりに会って話す機会があって、それからはよく話をしているよ」
性格も体型もすっかり丸くなった43歳のモントーヤだった。