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『ルパンの娘』は“予想外”の展開の連続!? 華×和馬の恋は無事にハッピーエンドを迎えるのか

2019年08月15日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『ルパンの娘』

 泥棒一家「Lの一族」。引きこもりの兄、渉(栗原類)がネットで見つけたお宝を、おばあちゃん(どんぐり)が画面ではモザイク処理済みの秘技で鍵を開け、父(渡部篤郎)と母(小沢真珠)が盗み出す。そんな家業がイヤで仕方ない娘、華(深田恭子)。ある日和馬(瀬戸康史)と出会い、恋に落ちるが、彼は一族すべて警察関係者という家に生まれた警察官で……。


「深キョンがピタピタのコスチューム着て、お色気系の大泥棒なのかな? ルパン? 恋人が刑事? 令和の今、大人が見るには、なんか設定が古臭いし、子どもっぽい気がする。でもまあ見てみるか……」


 こんな気持ちで見始めた『ルパンの娘』(フジテレビ系)が予想外、今期一番好きなドラマになりつつあります。


 話は荒唐無稽、ありえないことの連続なのですが、画面からの情報量が多く、かつ展開が早いのでつっこむ暇がなくずっと笑っている感じ。いろいろな映画やドラマのパロディやオマージュもふんだんにつめこまれ、「今のはあの映画のあのアクションですよね?」「それ、昼ドラで見た気が」と思った時にはすでに違うシーンになっている。


 とにかく「おもしろいこと」をすべて出し切り、出し惜しみがない。


 「いちいち説明しなくても、この早さでも、見ている人たちはきっと気づくだろう、おもしろがるだろう、信じてやりきろう」とする作り手の、視聴者への信頼のようなものを画面から感じます。だから見ていて心地よく笑える。


 そして演じる俳優さんたちの演技がすばらしい。セリフと表情に思わず吹き出した次の瞬間、キレッキレのアクションに息をのみ、その数分後シリアスな展開につい涙する。これを1時間にまとめるから、すごい。作っている人たちと演じる人たち、頭の中はどうなってるんでしょう……。


 和馬が追うLの一族であることがバレないように行動する華の、そのドキドキハラハラが物語の主軸なんだと思っていたのに、なんと先週、まだ半分の5話でバレてしまった……! これもかなり予想外。本当に展開が早い。


 そう、このドラマはここまでずっと「予想外」です。


 初回と第2話、和馬が白目をむいて倒れたので、これはお決まりとして続くんだろう、簡単に敵にやられて倒れてしまう弱い彼氏なんだなと思っていたら、その2話のみで、そのかわりに今度は第3話から第4話まで和馬の鍛えられた裸シーンが入り、敵をかっこよくやっつけるシーンもあり、実はかなりできる男だったのか、じゃあ毎回脱ぐのかなと思えばこれも5話で途切れる。


 きっとこうなるんだろうな、という予想を外していく「予想外」の連続。


 華ちゃんも、毎回決まってスーツへの着替えシーンはあるのですが、同じように見えて、ストーリーに合わせて微妙に表情が違う。


 俳優さんたちの実年齢と、役の上の推定年齢が全然違うことも、見ている私たちの固い頭をコンと叩き、常識なんて忘れていいんじゃない? と問いかけてきます。年齢には関係なく、小沢真珠さんはお母さんにしか見えないし、栗原類さんもお兄ちゃんにしか見えない。どの役も、この人にしかできない感じがします。


 ピタピタの泥棒スーツも、あれを着ると普段はかわいくか弱い華ちゃんが、手刀で人を倒せるほど強くなれる。だからいやらしくなく、ただただかっこいいセクシーさ。これについても「予想外」でした。


 たぶん今後の展開も、想像を超えて予想外になるんでしょうけど、できれば華ちゃんと和くんの恋だけは予想通りのハッピーエンドになりますように。(イラスト・文=渡辺裕子)