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WEC:フェラーリ、GTE新型モデル投入を否定。「まだ進化の余地はある」

2019年08月15日 08:01  AUTOSPORT web

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今季から始まる3年間の新ホモロゲーションサイクルでも、488GTEを続投する意向を明かしたフェラーリ
WEC世界耐久選手権にマシンを送り込むフェラーリのテクニカルディレクター、フェルディナンド・カニーゾは、現時点でGTEクラス用車両に新型モデルを投入する予定はなく、現行の『フェラーリ488 GTE Evo』をさらにアップデートする可能性が高いと示唆。そして2019/20シーズンからは、LM-GTE AmクラスにもEvoキットの供給を開始している。

 WECに向けては2016年から488のGTE版を投入してきたフェラーリは、初の年またぎシーズンとなった昨季の“スーパーシーズン”からその488 GTEのEvoモデルをProクラスに投入し、パフォーマンスの底上げを図ってきた。

 さらに2019/20シーズンからは3年間の新たなホモロゲーションサイクルが始まり、車両公認の考え方とその動向が注目されていたが、カニーゾによれば「488 GTEが(新サイクルの期限となる)2021年終了時点まで走り続けることになるだろう」との見通しを語った。

「ホモロゲーションに関連する領域以外の部分で、今後も488 GTEのマシン開発を続けていくつもりだ」と、モータースポーツウェブサイトのSportscar365に答えたカニーゾ。

「確かに、488 GTEのマシン開発にこれ以上パフォーマンスアップが可能なマージンが残されていないと判断したときは、新たな進化、新型モデルの投入を考えなくてはならないだろう。しかし、我々はまだそこには到達していないと考えている」と続けるカニーゾ。

「現時点では、ニューモデルの投入を必要としていない。我々が最優先に考えているのは、部品のアッセンブルやパーツの信頼性の面だ。おそらく、この分野で我々のマシンがもっとも優れているとは言えない」

「そのため、それらを含めたすべての領域で本質的な弱点が克服できる可能性が残されている、何かを改善できる道があるかもしれない、ということだ」

 ライバルのポルシェは、昨季までのサイクルで完全に新たな設計を持つ新型911 RSRを開発することを選択したが、アストンマーティンは2018年に投入したバンテージAMRを使用し、引き続き2シーズン目を戦う。



「我々も、2019/20シーズンに向けてエボリューションの予定はない。それは必須事項ではないんだ。しかし必要となった場合には、それに対応することができる」とカニーゾ。

「今回のホモロゲーションサイクルでも、公認期間の後半から終盤にかけて、性能向上のアップデートが起きるのではないかと見込んでいる」

「我々としても既存のEvoパッケージをさらに進化させることは技術的に可能であり、何かに取り組んでいる限り改善策は見つかるものだ。正しい方向に努力を集中させていれば、一般的には結果が出るものだからね」

 さらにカニーゾによれば、その488 GTE向けの改良キットは新シーズンからGTE Amのカスタマーにも供給が開始され、受け取ったチームからは良好なフィードバックを得ているという。

 2019/20シーズンのGTE-Amクラスに参戦予定の4台のフェラーリ488 GTEには、全車にエボリューションキットが供給され、これにより昨季のProクラスと同じ仕様にアップデートした状態でレースを戦うことになる。それに対し、Proクラスのマシンには「さらにマイナーな、ディテールのアップデート」も施された。

「一部のチームは新車を購入し、一部のチームは昨年のモデルにEvoキットを組み込んでアップデートしている」と続けたカニーゾ。

「基本的にシャシー部分に変更はなく、変更点のほとんどはフロントスプリッター、フロントバンパー、リアディフューザーなど空力性能に関連するものだ。この変更の目的は、純粋にマシンをさらにドライブしやすくするためであり、空力感度をやや抑えてブロンズドライバーでも操りやすい特性を狙った」

「彼らもマシンの変化を体感しており、すぐにその違いに気づいたよ。最初のフィードバックも良好なものだった。ラップタイムの改善をもたらすかどうかはすぐに明言するのは難しいが、この新パッケージに習熟していけば、安定したタイム向上に繋がると考えている」