ウイリアムズF1は最近になって間違いなくパフォーマンスを上げてきた。チーム副代表のクレア・ウイリアムズによれば、これは空力部門が新たな方向性を追求してきた結果だという。
ウイリアムズの2019年は、マシン開発の遅れやテスト走行不足、不完全なエンジニアリング作業などにより、厳しいスタートとなった。
シーズン開幕当初、ルーキーのジョージ・ラッセルとF1復帰を果たしたロバート・クビサは、悲しいほどにスピードが遅く完成度も低かったFW42を操り、決勝レースにおいては2台だけで最下位集団を形成していた。
グローブのファクトリーでは、ウイリアムズのエンジニアたちが長い時間と注意深さを求められるマシンの分析と復旧のプロセスに傾注し、メカニカルおよび空力面での弱点克服に向けて精力的な取り組みを行ってきた。
「皆さんが必ずしも目にするような作業ではありませんが、メカニカル面においてはかなりのアップグレードや改善が施されてきました。そして、それによってマシンは本当に安定し、ドライバーたちに大きな自信を与えることができたのです」と、ウイリアムズは『Formula1.com』のインタビューで説明した。
「それらのコンポーネントのいくつかにはかなりの作業を投じました。けれども、当然ですが空力パフォーマンスにも集中する必要がありました。オフシーズン期間が終わる時点で、非常に劣っている部分だったからです」
「ただ、昨年来新たな取り組みを行ってきた過程で、それが実を結ぶまでには多少の時間がかかることも分かっていました」
第10戦イギリスGPで導入されたアップデートが、いきなり大きなパフォーマンスの向上をもたらすようなことはなかったものの、その内容はウイリアムズに一定の自信を与えている。
「おそらくはバージボードによって、空力グループが追求してきた方向性の正しさが証明されました。その証明こそ、私たちが長い間待っていたものでした」とウイリアムズは付け加えた。
「コースと風洞トンネルの見事な相関関係が得られたのです」
「たとえば、レーキ角に関するシミュレーター作業で空力グループが採用した方向性ひとつをとってみても、空力の観点で言えば、私たちが前進するうえで大きく貢献したと考えています」
その前進は、ラッセルがQ2進出まであと一歩のところまで迫るタイムを記録した第12戦ハンガリーGPにおいて、明らかなものとなった。これが、ウイリアムズにとって待望のターニングポイントだったのだろうか?
「それは、ジョージが『10歩進むために5歩下がる』という言い方で説明したとおりです」と、ウイリアムズはチームの精力的な空力開発作業に言及した。
「間違いなくターニングポイントだったと感じています。それが見られる時を待ち望んでいました。けれども効果が実感できるようになるまで、ある程度時間がかかることも分かっていました」
「空力においては、ときに迷宮に入り込んでしまうことがあります。ですから、今回は何歩か後ろに下がってやり直すべきケースでした。これで前進できる目途が確実に立ちましたし、早くそうなりたいと願っています」
「自分たちがこれまでよりもずっと良い位置にいるとはっきり感じています。大切なのは今の方向性で開発を続けることであり、それによって9位との差を詰め続けていきたいと思っています」