2012年の現行シリーズスタートからWEC世界耐久選手権のLM-GTEクラスに参戦し続けているアストンマーティン・レーシングが8月13日、まもなく開幕を迎える2019/2020年シーズンの参戦体制を明らかにした。
2018年5月から2019年6月の約13カ月に渡って争われた“スーパーシーズン”に第2世代となるバンテージGTEカーを投入したアストンマーティン・レーシング(AMR)。
新車のデビューシーズンとなった“シーズン7”は、序盤こそオートマチックBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)の調整に苦しめられたものの、中盤からはバンテージAMRが本来持つパフォーマンスを発揮できるようになり、第5戦上海で95号車がGTE Pro初優勝を挙げると第7戦スパ・フランコルシャンでは97号車もクラス優勝を果たした。
また、最終戦の2019ル・マン24時間レースでは95号車がポールポジションを獲得するなど、欧米6社の自動車メーカーが激しい戦いを繰り広げる同クラスにおいて、新型バンテージAMRは導入初年度からトップランナーとして存在感を示した。
そんなアストンマーティン・バンテージAMRは1年以上続いた最初のシーズンを戦い終え、“シーズン8”より満を持してLM-GTE Amクラスにも初投入されることになる。
AMRはこのAmクラスに今季も98号車を送り込むが、そのドライバーラインアップはリフレッシュが図られ、ペドロ・ラミーとマティアス・ラウダに代わり、ダレン・ターナーとロス・ガンがポール・ダラ・ラナの新たなチームメイトとして起用される。
ターナーは言わずとしれたアストンマーティンワークスドライバーで、ル・マン24時間レースを過去3度制しているベテランだ。2017年まではProクラスにレギュラー参戦していが、昨季はサードドライバーとしての出場に留まっていた。
一方、新加入のガンは1997年生まれの若手イギリス人ドライバー。ブリティッシュGTなどで活躍したワークスドライバーはこのシーズン8で世界選手権のGTE Amクラスデビューを果たす。
「98号車のトリオにポール(・ダラ・ラナ)とロス(・ガン)ととに参加し、2019/2020年のGTE Amチャンピオンシップに挑戦できることをとても楽しみにしている」と語るのは、先日行われたスーパーGT第5戦富士でGT300クラスに初参戦したターナー。
「とても大変な仕事になるだろうね。このカテゴリーは今季、過去もっとも激しい競争が繰り広げられると思う。だが、ポールは非常に有能なドライバーでありWECでの経験も豊富だ。ロスを含めた僕たちのパッケージはかなり強力だよ」
ルーキーのガンは「アストンマーティン・レーシングの一員としてWECのプログラムに参加できることを光栄に思う」とコメント。
「僕はGTレースの頂点に値する選手権で、キャリアの新しい章をスタートさせることに興奮しているんだ! そして、そのなかで確実な結果を求めていきたいと考えている」
■「ポルシェ、フェラーリと戦うのを楽しみにしている」とAMRのジョン・ガウMD
LM-GTE Proクラスは“スーパーシーズン”の終了と同時にフォードとBMWがプログラムを終了したことで、2015年以来初となるポルシェ、フェラーリ、アストンマーティンによる3メーカーの戦いとなる。
そんなシーズン8に向けて、AMRは95号車と97号車のドライバーラインアップを継続することを決断。95号車、通称“デーントレイン”にはニッキー・ティームとマルコ・ソーレンセンのデンマーク人コンビが起用された。
また、昨シーズンからコンビを組むマキシム・マルタンとアレックス・リンは97号車で2シーズン目を迎えることになる。
「WECの新しいシーズンに向けて、すべての準備が整った」とは、アストンマーティン・レーシングのマネージングディレクターを務めるジョン・ガウのコメントだ。
「昨シーズンは後半4ラウンド中ふたつのレースで勝ち、最後のル・マンではポールポジションを獲得した。そのため、我々は今季にも自信を持って臨むことができる」
「アストンマーティンとポルシェ、フェラーリはともにチャンピオンシップにもっとも長く貢献してきたチームだ。かつて三つ巴の戦いを演じたライバルたちと再び戦う機会を楽しみにしているんだ」
「私たちのドライバーラインアップは非常に強力で、すべてのGTE Proドライバーはレースに勝つパフォーマンスを備えている。シリーズチャンピオン獲得という目標を達成するには、そのようなドライバーたちが必要なんだ」
長期間に渡って継続されてきたGTE Amクラスのラインアップを変更したことについて、ガウは次のように続けた。
「我々は新しいラインアップに成果を期待している」
「これはロスにとって、世界レベルで自分の能力を証明する絶好の機会だ。また、私たちはダレンの持つ能力を充分に認識している。彼にとっては再び世界選手権を戦い、ル・マンで4回目の勝利を収めるチャンスでもあるんだ」
アストンマーティンのワークスプログラムメンバーに選出された7人のドライバーたちは、WECプロローグテストでお披露目された新しいカラーリングをまとうアストンマーティン・バンテージAMRでル・マンを最終戦とする全8ラウンドを戦っていく。その初戦となるのは8月30日~9月1日に同ブランドの“ホーム”イギリスで行われるシルバーストン4時間レースだ。