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THE ALFEE、音楽に捧げる人生 45年経てなお進化し続けるライブがもたらす“勇気”

2019年08月14日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

ALFEE(写真=上飯坂一)

 8月3日の幕張は複数のイベントや催しが重なり、普段とは比べものにならない多くの人で溢れかえっていた。そんな中、幕張メッセ国際展示場1-3ホールを使って行われた『THE ALFEE 45th Anniversary Summer Best Hit Alfee 2019 夏の乱 Battle Starship Alfee』。今年デビュー45周年を迎えるTHE ALFEEが、毎年恒例で行っている夏の一大イベントだ。1982年、埼玉・所沢航空記念公園で行った初の夏の野外イベント『ROCK’N’ ROLL FIGHTING NIGHT 悲しみをぶっとばせ!!』から、2006年横浜赤レンガパーク特設会場で行った『YOKOHAMA STARSHIP』まで24年間休みなく開催され、2009年に復活を果たしてから今年でのべ35年。初となる幕張メッセを舞台に8月3日と4日の2日間、約22,000人のファンが会場に集結した。


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 THE ALFEEといえば45年のキャリアもさることながら、2018年にはコンサート通算本数が2,700本に到達。日本のグループ史上最多本数を現在も更新しているモンスターグループだ。春夏秋冬と季節ごとにツアーやイベントを行っているが、特に夏ライブではコンセプトに沿った豪華絢爛な舞台セットや演出が施され、“THE ALFEE・エンターテインメント”の真骨頂を体感することができる。今回はアンコールも含め約3時間全24曲を披露し、近くで行われていた花火大会の賑わいをも凌ぐ盛大な盛り上がりを見せた。


 『Battle Starship Alfee』と名付けられた本公演は、アルバム『Battle Starship Alfee』(2019年6月)にちなんだもの。宇宙戦艦モチーフの巨大なステージセットを背に、せりあがるカプセルの中から登場した桜井賢、 坂崎幸之助、高見沢俊彦の3人。そのまま宇宙船を思わせるムービングステージに移動して「宇宙戦艦ヤマト」、「STARSHIP-光を求めて-」をパフォーマンスした。3人を迎える歓声からは、まるでティーンエイジャーのように純粋な興奮が伝わってくる。その勢いに負けじと、ステージ上の3人も抜群の声量で美しいハーモニーを響かせ、高見沢は華やかなギターソロも惜しみなく披露。冒頭から“THE ALFEEのライブに来た”という感慨に浸ることのできる壮大な幕開けだ。


 今回のセットリストは、大きく分けると代表曲・人気曲→ターニングポイントとなった曲→最新アルバム曲という構成になっていた。THE ALFEE最大の武器は言わずもがな、全員がボーカルをとることができる点にある。桜井の淀みなくまっすぐ伸びる声、坂崎の哀愁ある声、高見沢の突き抜けるようなハイトーンボイスと、それぞれが異なる声質であるからこそ多様な楽曲をレパートリーに持つ。「夢よ急げ」(桜井メイン)、「二人のSEASON」(高見沢メイン)、「愛をとりもどせ!!」(クリスタルキングカバー/坂崎&高見沢メイン)のように次々と表情を変える楽曲群を楽しむことができるのだ。


 また、それぞれの歌声が合わさることでTHE ALFEEでしかなしえない素晴らしいハーモニーが生まれる。「FLOWER REVOLUTION」「ジェネレーション・ダイナマイト」「星空のディスタンス」などに顕著な無二のハーモニーをライブで体感すれば、なぜTHE ALFEEが長きに渡りライブを大切に活動し続けているのか、なぜTHE ALFEEのライブが求められるのかが理解できるだろう。そして、とにかく3人のライブでのパワーが圧巻で、そのパワーを保ったまま長時間のステージをこなしてしまうのはさすがとしか言いようがない。3人がステージに立つ姿に勇気や元気をもらっているファンも少なくないはずだ。


 そんな無敵感すら漂うTHE ALFEEも、長い活動期間の全てが順風満帆というわけではなかった。中盤に披露された「無言劇」は、坂崎の『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)2部出演直前に発表され、坂崎の知名度の高まりとともに各地キャンペーンでTHE ALFEEの名が知れ渡るようになったきっかけの曲なのだという。2ndシングル曲「青春の記憶」は作曲・筒美京平、作詞・松本隆という黄金コンビが手がけるも、グループが駆け出しで日の目を見なかったという曲。そして「メリーアン」の大ヒットを機にグループはスターダムをのし上がることになる。初期のフォーク・歌謡要素の強いスタイルを経て自分たちの強みを磨き、オリジナリティを確立したことで今のTHE ALFEEの姿があるのだ。最新作『Battle Starship Alfee』は、そうしたTHE ALFEEの音楽性を形作ってきたあらゆる要素を詰め込んだ、45周年にしてこれからも進化していくという決意を示したかのようなアルバムだ。特にプログレ~ハードロック調の「進化論B」「展覧会の絵~GATE OF HEAVEN」では圧倒的な歌唱力とともに、各人のプレイヤビリティが存分に発揮されている。


 本編最後を飾った「Musician 2019」は、3人の歩みとともにオリジナルから歌詞を変えて歌ってきた楽曲「Musician」の最新版。発表当時、ミュージシャンへの憧れを歌っていた3人の青年は、45年が経った今、〈素晴らしき我が人生 君のために歌い続けよう 幕を下ろすその日まで〉と歌う多くの人にとってかけがえのないミュージシャンとなった。歌うことを愛し、演奏することを愛してきたTHE ALFEEの音楽人生。笑顔とサービス精神に溢れるアンコールをたっぷり披露して迎えた本当のラスト、高見沢は多くの時間をライブに費やしてきたことを誇りに感じていると言い、「まだまだ新しい曲、アルバム、ライブもできそう。まだまだみんなの青春は終わらせないから」と力強く語った。


 今後の予定としては、早くも全国ツアー『THE ALFEE 45th Anniversary Best Hit Alfee 2019 秋の乱 Battle Starship AlfeeⅡ』の開催が決定している。人はいくつになっても輝ける、そして進化することもできるーーそんな勇気をもらえるのがTHE ALFEEの今のライブだ。(久蔵千恵)