女性だけで争われるフォーミュラレースシリーズ『Wシリーズ』の2019年シーズン最終戦が8月10~11日にイギリス・ブランズハッチで行われ、ジェイミー・チャドウィックが初代チャンピオンに輝いた。
Wシリーズは、女性ドライバーの育成と支援を目的に立ち上げられた新シリーズで、元F1ドライバーのデイビッド・クルサードや“空力の鬼才”とも評されるエイドリアン・ニューウェイといったF1関係者もサポートしている。
DTMドイツ・ツーリングカー選手権の併催イベントとして行われた2019年シーズンには18名のレギュラーと4名のリザーブを合わせて、22名の女性ドライバーが参戦。レギュラードライバーには唯一の日本人選手として小山美姫も名を連ねた。
第1戦ホッケンハイム、第3戦ミサノで優勝を飾ったチャドウィックは、最終戦ブランズハッチでポールポジションを獲得すると、レース序盤をリードしていく。
しかし、レース開始から10分が過ぎたころ、後方からアリス・パウエル、エッマ・キミライネンの2台が後方から接近すると、相次いでチャドウィックを攻略。一気に3番手までポジションを落とした。
そしてレース残り10分を切ったころ、小山美姫がスピンしてしまい、コース上にストップしたため、セーフティカーが導入され、レースは一度仕切り直しに。
このセーフティカーランは4分間続き、レースは残り6分で再開。トップの2台はふたたびリードを築いていった一方、3番手チャドウィックの後方にはランキング2位のベイスク・フィッセールが接近してくる。
しかし、チャドウィックは4番手に後退してもチャンピオンを手にできることから、大きく抵抗することなく、フィッセールのオーバーテイクを許し4番手へ。そのままチェッカーを受けることになった。
この結果、チャドウィックは獲得ポイントを110まで伸ばして初代チャンピオンとなり、賞金50万ドル(約5200万円)も手にしてみせた。
「Wシリーズの初代チャンピオンになれたなんて信じられない。まだ実感は湧いていないけど、そのうち実感するでしょうね」とチャドウィック。
「あっという間の1年間だったし、特に今日のレースはこれまでのキャリアで一番興奮したわ。4位でチェッカーを受けることになったけれど、レースを完走してチャンピオンになれたことをうれしく思う」
「Wシリーズは素晴らしいものになると思っていたけれど、1年でここまで大きなものになるとは想像もしていなかった。レースを重ねるごとに、シリーズはより良く、大きなものに成長していったし、(最終戦)ブランズハッチでここまでの観客が集まってくれるなんて思いもしなかった」
「シリーズにかかわったすべての人たちにとって素晴らしい経験になったと思うし、私のキャリアにとってもWシリーズは最高の存在になってくれたわ」
最終戦ブランズハッチを制したパウエルは76ポイントでランキング3位となったほか、小山は30ポイントのランキング7位でWシリーズ初年度を終えている。