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新型iPhoneでTouch IDが復活へ? Androidとの競争に向け、低迷を打破するため決断か

2019年08月13日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『9to5mac』Kuo: Apple to release iPhone with both Face ID and under-screen Touch ID in 2021より

 アナリストのミンチ・クオ氏が「Appleが2021年からiPhoneにTouch ID指紋認証を復活させる」という予測を発表した。同氏は、顔認証と指紋認証の技術は補完的なもので、Appleはこれらを統合する方向だと分析する。


(参考:新型iPhoneは3機種すべて2020年発売・5G対応に? 仕様変更迫られた背景とは


・Appleが認証技術の特許申請、Androidは顔認証に見向きせず
 このミンチ・クオ氏の予測は、Appleが指紋認証技術に関する特許を申請していることを根拠にしている。


 Apple 製品の先行情報を世界中から収集しているサイト『MacRumors』は「Appleは、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XRといった主力ラインナップで指紋認証を完全になくした。一方、中国のモバイルは逆の方向に進んでおり、インディスプレイ指紋センサー技術の採用をプレミアムモデルからミッドレンジモデルのスマートフォンに拡大し、人気を博している」と指摘(参考:
https://www.macrumors.com/2019/08/05/kuo-iphone-with-both-touch-id-and-face-id-due-2021/ )


 Appleは、2017年のiPhone XのアンダーディスプレイにTouch IDを統合しようとしていると広く噂されていたが、早くもFace IDを採用し指紋スキャンを廃止。しかし、マルチ生体認証は、そのうちの一つが利用できない状況で別の認証プロセスを提供することができるため、クオ氏は「Face IDとTouch IDのテクノロジーは競合しない」と主張する。


 ただし、アンダーディスプレイ指紋コンポーネントを実現するためには現在、消費電力、検出領域のサイズ、検出モジュールの厚さ、ラミネート加工の生産歩留まりといった多くの技術的課題がある。


 そのなかでクオ氏は、GISがセンシング超音波技術を、Qualcommが超音波FODモジュールとラミネーションを供給することでこれらの課題が来年頃には対処され、2021年のiPhoneを設計するまでには解決し、Appleがデバイスで目指している高レベルのエクスペリエンスを提供できるようになると見ている。


・Touch ID使用終了が大方の見方だったが、再び実装
 先月、中国メディアは、Appleが予算重視の中国市場向けに、アンダーディスプレイ指紋センサーを搭載した新しいiPhoneを発売すると報じた。ただし、これらの報道では、指紋スキャンは、高価なFace IDテクノロジーにとってかわると考えられている。


 バークレイズのアナリストは、2020年モデルのiPhoneについて「フルスクリーンTouch IDを可能にする音響指紋技術が搭載される」と主張している。


 AppleのMacBook ProシリーズやMacBook AirといったノートパソコンのキーボードでTouch IDが採用されるようになったり、Appleのスマートフォンでも様々なインディスプレイ指紋スキャナーソリューションが模索されたが、iPhoneでのTouch ID使用は終了というのがこれまでの大方の見方だった。


・Touch IDとFace IDの統合は大きな可能性、iPhone低迷を打開も
 Apple 製品を専門に扱うメディア『9to5mac』は「Apple Watchが将来、生体認証を行う場合、Face IDの顔認識カメラよりも、アンダーディスプレイの指紋スキャナーの方が可能性が高い」と記している(参考:https://9to5mac.com/2019/08/05/iphone-face-id-touch-id/ )


 他方、『The Verge』は「Touch IDとFace IDのセキュリティシステムを統合するのは興味深いアイデアで、二段階生体認証への扉を開く可能性がある。つまり、ハッカーがアクセスするには、顔と指紋の両方を模倣する必要があるため、別の形式の生体認証セキュリティと組み合わせて使用​​すると、それを突破するのはかなり困難になる」と利点を述べる(参考:https://www.theverge.com/2019/8/5/20754520/iphone-in-display-fingerprint-sensor-touch-id-2021-iphones-face-id-biometric-security-rumors )


 また、『Mashable』は「もしクオ氏の予測が正しければ、iPhoneは後戻りすることになる。Touch IDの復活は多くのiPhoneユーザーに喜ばれるだろう。Face IDは指紋スキャンほど反応速度が良くないため、あまり好まれていない。インディスプレイTouch IDは、Androidスマートフォンに対するiPhoneの競争力を高める可能性もある。Androidスマホは最近、ディスプレイに指紋リーダーが搭載されている。もしかするとTouch IDがiPhoneの低迷を打破するかもしれない」と分析した(参考:https://mashable.com/article/iphone-touch-id-face-id-2021/?europe=true )


 設計よりもはるかに早い時期に出された観測のため、今後の状況に応じて仕様が変わる可能性もあるが、顔認証と指紋認証の両方を搭載することは、今のところ各方面から歓迎されているようだ。


(Nagata Tombo)