アンドレア・ドヴィツィオーゾとドゥカティ・チーム MotoGP第11戦オーストリアGPの決勝レースがレッドブル・リンクで行われ、MotoGPクラスはアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)が優勝。開幕戦カタールGP以来の勝利を手にした。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は11位でフィニッシュを果たしている。
決勝日は最初に行われた電動バイクレース、FIM Enel MotoE World Cup(FIMエネルMotoEワールドカップ)ではウエットコンディション。しかしその後は路面状況は回復し、MotoGPクラスの決勝レースを迎えるころには、コンディションはドライ。気温は23度、路面温度32度のもとでレースは始まった。
決勝レースで好スタートを切ったマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が、先頭で1コーナーに飛び込む。続く2コーナーからのストレートの加速で3番手スタートのドヴィツィオーゾがマルケスに並ぶと、3コーナーのブレーキングでマルケスにオーバーテイク仕掛ける。
しかしドヴィツィオーゾはマルケスと接触を避けるように一瞬マシンを起こして挙動を乱し、マルケスも同じく失速。ドヴィツィオーゾとマルケスは後退し、代わりにファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)が先頭に立った。ドヴィツィオーゾは2周目にファステストを叩き出すと、トップのクアルタラロを追う。3番手にはジャック・ミラー(プラマック・レーシング)、そして4番手に続くのがマルケスだ。
5周目、4番手を走るマルケスが3コーナーでミラーをパス。3番手に浮上する。6周目にはメインストレートでドヴィツィオーゾがクアルタラロを交わし、さらにマルケスが3コーナーでクアルタラロをオーバーテイク。トップはドヴィツィオーゾ、2番手がマルケスとなり、クアルタラロは3番手に後退する。
3台の差はわずかで、ブレーキングでは3台が接近する状況が続く。特にドヴィツィオーゾとマルケスはテール・トゥ・ノーズの緊迫した状況だ。そんななか、8周目に4番手を走行中だったミラーが9コーナーで転倒。ミラーはここでリタイアとなった。
10周目、マルケスがメインストレートの加速でドヴィツィオーゾに並び1コーナーでオーバーテイク。しかし続く2コーナーから3コーナーにかけてはドヴィツィオーゾがマルケスと横並びになる激しいトップ争いが展開される。
一方、クアルタラロは徐々に離され始め、11周を終えるころには2番手のドヴィツィオーゾとの差は1.5秒以上に開いていた。トップ争いは、マルケスとドヴィツィオーゾのふたりにしぼられることになる。
レース折り返しの14周を終えて、トップはマルケス、2番手がドヴィツィオーゾ、3番手にクアルタラロ。そして10番グリッドスタートのバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が堅実なレース運びで4番手につけていた。5番手にはマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)とヤマハ勢が続く。
中上はレース序盤からポジションを落とし、8番手を走行。7番手のフランセスコ・バニャイア(プラマック・レーシング)とは約1.7秒差という状況だ。
トップのマルケスと2番手のドヴィツィオーゾは、ほぼその差を保ったまま周回を重ねていく。ドヴィツィオーゾはだいたい0.1秒から0.2秒以内の差で、マルケスを追っていた。
そして20周目、ついにドヴィツィオーゾがマルケスをとらえる。メインストレートでマルケスに並ぶと1コーナーにマルケスに先行して飛び込み、続く2コーナー、3コーナーでもトップをキープ。ドヴィツィオーゾがトップを奪い返した。しかしドヴィツィオーゾがトップ、マルケスが2番手でふたりの激しいトップ争いは続いていく。
しばらく拮抗した状況が続いていたが、残り3周となったところでマルケスが動いた。7コーナーでドヴィツィオーゾをオーバーテイク。ドヴィツィオーゾが8コーナーの立ち上がりでマルケスに並び、9コーナーではイン側をとりマルケスに先んじてコーナーに入るも、マルケスがクロスラインでトップを奪い返す。さらに続くメインストレートでもドヴィツィオーゾがマルケスに仕掛け、ふたりの争いは最後の局面に向けて激しさを増していった。
ラストラップ、1コーナーの飛び込みでマルケスを交わそうとしたドヴィツィオーゾ。しかしブレーキングが深すぎたか、マルケスがトップを守る。
テール・トゥ・ノーズで迎えた最終コーナー。ドヴィツィオーゾはその前のコーナーを立ち上がると、ラインをややずらす。そしてマルケスの内側にポジションをとったドヴィツィオーゾが、マルケスのインにマシンをねじ込んだ。ドヴィツィオーゾはぎりぎりのブレーキングでややはらみながらも、最終コーナーを先頭で立ち上がる。ドヴィツィオーゾはそのまま加速し、トップでコントロールラインに飛び込んだ。
ふたりが火花を散らしたレースは、ドヴィツィオーゾが勝利を手にした。ドヴィツィオーゾにとって、実に開幕戦カタールGP以来の優勝だ。マルケスは2位でチェッカー、3位にはクアルタラロが入った。
4位にはロッシ。10番グリッドから追い上げ、最後には3位のクアルタラロに約1.6秒ほどにまで迫っている。5位はビニャーレスで、3位から5位までをヤマハ勢が占めた。また、7位にはバニャイア、8位にはミゲール・オリベイラ(KTMテック3・レーシング)というルーキー勢が入っている。
6番グリッドを獲得し、自身初の2列目スタートだった中上は序盤に8番手に順位を落とすと、中盤にはバニャイア、オリベイラ、ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ・チーム)、フランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)に交わされて後退。11位でフィニッシュする苦しいレースとなった。