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働き方改革でも改善しない?生活のために残業する人たち 「残業してやっと人らしい生活ができる」という人も

2019年08月11日 09:10  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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働き方改革で残業は規制され始めているが、本来ならする必要がないのに、残業代を稼ぐために残業する「生活残業」をしている人は、まだいるようだ。労働者の意図的な残業は、人件費が余計に増えるため、企業にとっては痛手だ。しかし、「残業しなければ生活できない」ほど給料が低い企業があるのも事実である。

企業口コミサイト「キャリコネ」に寄せられた「生活残業」に関する口コミを見てみよう。

「残業時間中に煙草部屋で雑談して過ごすおじさんが大勢いる」


「仕事がないのに残業をする、いわゆる生活残業を繰り返し、手取り給与を増やす社員が大勢いる。残業時間中に煙草部屋で雑談して過ごすおじさんが大勢いる。逆にいえば、それをしないと、生活できるだけの手取り給与をもらえない」(プリセールス、20代後半、男性、正社員、年収500万円)
「基本給はある年齢に達すると頭打ちとなり、家族持ちは生活残業が横行している。管理職は残業手当がつかないので、人件費削減のために名ばかり管理職にされる社員も多い」(サポートエンジニア、30代前半、男性、正社員、年収580万円)
「残業代で稼ぐしかなく、以前は生活残業をしている人が大量にいた。しかし残業の制限が急激に厳しくなったため、年収は軒並みかなり下がった」(システムエンジニア、30代前半、男性、正社員、年収640万円)

残業しないと「生活できるだけの手取り給与をもらえない」、基本給が頭打ちとなり、「家族持ちは生活残業が横行している」といった口コミが寄せられた。基本給の少なさから、生活のために残業せざるを得ない人々がいるのだ。働き方改革などを受けて残業規制が始まった企業では、「年収は軒並みかなり下がった」という声も。

大和総研グループが2017年8月に発表した「日本経済見通し」では、残業が月60時間に制限された場合、労働者全体で年間8兆5000億円の残業代が減ると試算されている。企業のコストは減るが、これまで通りの生活ができなくなる社員は増える。残業しなくても生活できる安定した基本給があれば、わざと労働時間を増やす人々は少なくなるだろう。

未だに「残業すれば評価される文化がある」会社も

「残業代は必ず支給されるため、生活残業をしている人が非常に多い」(プロジェクトリーダー、20代後半、男性、正社員、年収500万円)
「生活残業が認められているので、ダラダラ仕事をすれば残業代を稼ぐことが可能。また残業をすれば評価される文化があり、時代を逆行しているなと強く感じる。逆に仕事を効率よく行って早く退社すると評価されない」(社内SE、30代前半、男性、正社員、年収480万円)
「残業すればやっと人らしい生活が出来る。残業代はきっちり出る。だから、生活残業星人がいっぱいいる。リーダーが生活残業星人だと、メンバーはなかなか帰れなくて辛い」(システムエンジニア、40代前半、男性、正社員、年収500万円)

どうしても残業しなければならない場合は仕方がないが、ダラダラと長時間会社に滞在するだけで給与が発生すれば、企業の生産性は落ちる。人件費や光熱費などコストだけがかかってしまう。

また「リーダーが生活残業星人だと、メンバーはなかなか帰れなくて辛い」という口コミにもあるように、残業する人が増え、早く帰れない雰囲気が出来上がり、効率的な働き方を阻害する恐れもある。

企業は、社員の一人ひとりのタスク量や進捗状況、達成度などを把握し、残業の有無にかかわらず社員を評価する必要がある。また、残業しなくても生活ができる基本給を設定し、生産性を高める働き方ができるように取り組むべきだ。